第24話 風紀委員に推薦

 「なぁ修。昨日北条さんと回っていたようだがどの部活にしたんだ」


 朝登校すると涼から聞かれた。


 「ああ、実は部活ではないけど、生徒会に入る事になった」


 その瞬間涼だけではなく、授業の準備をしながら俺たちの会話を聞いていた千秋さんも俺の方を向き、目を見開いていた。


 「生徒会?それはまたすごいねー。どう言う経緯で?」

 「昨日歩いていたら会長にあったんだ。会長が北条さんと知り合いらしくそのまま俺も一緒にって感じだよ」

 「へぇ。確か北条さんは中学の時に西園寺会長と一緒に中学生徒会にいたよね」

 「ええ、そうよ」

 「涼と北条さんは何部に入ったの?」

 「俺たちはまだ決めてないけど…」


 ふーん。俺“たち”ね。二人一緒のに入るのは決定なんだな


 「サッカー部にしようか迷ってるの」

 「サッカー部?女子と男子ってこと?」

 「あ、いや、私は入るならマネージャーとしてだよ」


 へー、マネージャーね。千秋さん可愛いから一気に入部者増えそうだな。

 その点を考えると北条さんは生徒会に入ってよかったのかもしれない。生徒会なら他の部活をしている余裕はないだろうし。


 “ブーブー”


 「あーすまん。俺だわ」


 今のは俺の携帯のマナーモードのバイブの音だ。ポケットから取り出してみると無料チャット・通話アプリに会長からメッセージが来ていた。


 『今日の昼休み北条と一緒に生徒会室に来れるか?』


 「北条さん。会長が今日の昼休み生徒会室に来れるかだって」

 「生徒会室?ああ一緒にお昼を食べたいんじゃないかしら。西園寺先輩新しい人が入ると必ず誘うから」

 「ふーん。じゃ…」

 「気にするな。行ってこい」

 「ああ、ありがとう」


 涼たちと食べられないからと一瞬迷ったが、涼が気にしなくていいと言ってくれたため今日は生徒会室に行くことになり、北条さんと一緒に行くと言う旨を会長に伝えた。


  〜昼休み〜


 “コンコン”


 「如月と北条です」

 「はーい。入っていいよ」


 生徒会室のドアをノックすると中から会長が返事をした。


 「「失礼します」」

 「お、俺の勝ちだな」

 「ちっ、さすが北条だな」


 北条さんと一緒に中に入る。そして俺たちの姿を見た途端、轟先輩と橘先輩が盛り上がった。


 「え、どうしました?」

 「あーすまんすまん。お前らが弁当を持ってくるかどうか橘とジュース一本欠けてたんだよ」


 轟先輩が俺と北条さん、それぞれの右手に持っている物へと視線をやる。

 そうお弁当だ。実は俺も最初は忘れていたが北条さんが気づかせてくれた。


 ところで一つ気になっていることがある。生徒会室の真ん中に大きな机があり、入り口から見て右側の一番奥に会長は座っているのだがその隣にとても綺麗な女性が座っていた。


 「あの会長?」

 「うん?何だ?」

 「えっとー、そちらの方は」

 「ああ、こいつは黒田楓、風紀委員長だ」

 「君が新しく入った子?」

 「はい。如月修です」

 「北条陽葵です。お久しぶりです黒田先輩」

 「ええ、久しぶりね、陽葵ちゃん」


 どうやら二人は知り合いらしい。だから俺だけ新しい子って呼んだのか。

 北条さんによると黒田先輩は中学の時も風紀委員長をしていたようだ。風紀委員は実質生徒会の下部組織で生徒会をサポートするため生徒会長が風紀委員長を任命するらしい。


 「まぁまずはみんな座ってくれ」


 会長にそう促され俺たちは空いている席につく。そして俺たちは世間話しながらお弁当を食べる。


 「あ、そうだ。修君と陽葵ちゃんに聞きたいんだけど風紀委員も新入生を入れるんだけど誰か推薦とかあるかな?二人ぐらい?なければ先生に聞くことになるんだけど」


 黒田先輩が俺たちに聞いてきた。仕事としては二つの風紀委員の仕事プラス生徒会の手伝いらしい。ここ龍皇学園は日本中のいわゆる上級階級が集まる学校。だからその学校の生徒会は財界、政界とパーティーとかあるらしい。


 マジか。俺がパーティー?やばない?


 まぁそんなことは後々考えるとして今は推薦する人だ。やはり財界とか政界の人たちと関わるとなったらあいつらかな?慣れてそうだし。


 そして昼休みが終わる10分前に俺と北条さんは教室に戻ってきた。


よし早速あの二人に話を通そう。


 「お、戻ってきたか。どうだった?」

 「おう、どうだったって言われても普通に世間話をしただけだよ」

 「ふーんそうか」

 「……ところで涼、それと千秋さん?」

 「うん?どうした?」

 「……二人とも風紀委員に入らない?」

 「……風紀委員?」

 「ええそうよ。黒田先輩から誰か推薦はないかって聞かれたの。二人とも入らない?」


 北条さんの言葉で一旦二人は考えた。そしてお互い見つめて頷き合った。


 「ああ、せっかくだからな、入らせていただくよ」


 そう言う涼の言葉を聞いて俺と北条さんは安心したように笑った。

 そして俺はスマホを取り出し、会長に対してメッセージを打つ。


 『黒田先輩に伝言をお願いしてもいいですか?南雲涼、南川千秋を風紀委員に推薦します』と

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る