第11話 龍皇学園入学式2
先生の指示通り階段を上がると扉があり、前に女の人が立っていた。
多分この人も先生なんだろう。
「入学おめでとう。君たちは何組かな?」
先生に近づいていくと先生は祝福の言葉と一緒にそう聞いてきた。
「二人とも1組です」
俺が代表して答える。
「そう。1組はこの入り口から入って右側の区画よ。席は自由だから好きに座っ
て頂戴。保護者の方は同じくこの扉から入って、ご子息の席の後方の区画に座
って下さい。こちらもご自由にお座り下さい」
そう言われて俺たちは中に入る。
広いな。
講堂は前にステージがあり、映画館みたいに座席が後ろに行くにつれて段々高くなっている。また席数も相当あり、数千人は入りそうだ。
「じゃあ、僕たちは後ろに座っているからね」
「はい、わかりました」
「うん、わかった」
克人さんの言葉に俺と北条さんが了解の意を返す。
そして俺たちの返事を聞いた克人さんは翔子さんを連れて後ろの席に行ったため、俺たちも移動した。指定された1組の区画はまだ全然人は少なく、席はたくさん開いていた。
せっかくだし前の方に座ってみようかなと思ったら、前で歩いていた北条さんが後ろの方の席に座った。
まぁ、別行動でもいいよね。北条さんもずっと男が隣にいるのはウザいだろうし。
そう思って、再び前の方の席に座ろうと歩き出した。
「え、どこいくの」
前の行こうとした俺に北条さんが思わずといった感じで呼び止めた。
まさか北条さんが声をかけてくるとは思わず驚きながらも、「いや、前の方に座ろうかと」と答えると、少し不機嫌気味い言った。
「なら、前に方に座ろうくらい言いなさいよ」
「え、一緒に座るの」
しまった。
この言葉を言ったのは悪手だった事に気づいた。この言葉を聞いた瞬間北条さん顔がより一層不機嫌になったからだ。
「逆にここまで一緒に来て別々に座る選択肢があると思う。お父様とお母様も面
倒でしょう」
「はい、ごもっともです」
「それで前に座るの?」
「あ、いや、そこでいいよ」
腰を浮かせながら聞かれて、俺は慌ててそう答えた。
というか初めて北条さんとこんなに長く話したな。
そう思って、北条さんの隣に腰を下ろすと北条さんが「はぁー」とため息をついた。
なんかごめんなさい。
それからしばらく待っていると、人が増えてきて徐々に席が埋まってきた。
そして、こっちをみる視線をちらほらと感じた。
北条さんが美人だからかな。
そんなことを考えていると司会のような人が入ってきて、舞台の左側の台の前にに立った。
「只今より、龍皇学園入学式を開会いたします」
そう宣言して、入学式は始まった。
そして予想に反して短かった校長の挨拶も終わり次は担任の先生が発表される。
「1組は
そう言って出てきたのは綺麗でかっこいい女の先生だった。
「静先生だ。よかったわね。優しい先生よ」
「知ってるの?」
急に北条さんに話しかけられて、またまた驚いてしまったがそう聞き返した。
「うん。中学の時担任だったの。3年間 」
「え、クラス替えとかないの」
「いえ、あるわよ。たまたま同じだっただけよ」
なるほどね。それにしても優しい先生か。よかった。
「以上をもちまして、龍皇学園入学式を閉会します。生徒はこのあと教室でレク
リエーションがありますので、担任の先生の指示に従って下さい」
全クラスの担任の紹介が終わり司会の人が指示を出すと、各クラスの担任が指示を出した。
山崎先生も「ついてきてー」歩き出したため、みんなも立ち先生の後をついていく。北条さんも俺に「行くよ」と一言言って席を立った。
少しは話しかけてくれるようになったことを嬉しく思いながら、席を立った。
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