第12話 ドレイク攻略作戦③
「力が足りないなら量を増やせばいいのよ!」
「量を増やす?一体どうやって増やすんだ?」
「ほら、こっちの世界には水みたいに反射してるものがあるでしょ?それを使うのよ。」
「水みたいに反射…?もしかして鏡のこと?」
そう言って俺は棚に閉まってあった手鏡を取り出した。
「そうそう!これよ!これを上手く活用すれば…!」
「光を反射するように、聖属性の魔法を反射させるってことか!でも、そんなたくさんの鏡用意できるのか?」
「それは簡単よ。私って攻撃魔法は得意じゃないけど、こういう魔法は得意なのよ。ヴァラディグラ!」
イレーネがそう言うと一つしかなかった手鏡が二つになっていた。
見た目も全く同じだが、それ以上に驚いたのは鏡としての機能が残っていることだ。
「これなら鏡をいくらでも増やせるな!」
俺は決意に満ちた表情と声で
「ドレイク攻略作戦決行だ!」
「おぉー!!」
ドレイクの拳は俺の顔に思いっきり当たった。鼻血は噴き出し、鼻は物理的に曲がってしまった。
「お前は『俺たちの勝ちだ』なんて言っていたがお前はすでに負けていたようだな。もちろんこの私に会ってからという意味だがな。」
「自分で…言ってて…まだ気がつかないのか?…まずは周りを見てみろ。」
「あ?周りを見ろだと?…なっ!?これは一体何なんだ!」
「知らないのか?…鏡だよ…鏡」
「これは鏡というのか、不思議な物だが意味は無いのだろう?どうせ脅しに使ったというぐらいだろう。」
「まあ、一つの意味としては会ってるね。でも、意味はもちろんある物なんだよ。ほら、見てよ。自分の姿がちゃんと見えるでしょ?」
そう言いながらイレーネは俺の前に歩み出た。
「お前は!こいつと一緒に居た女のやつじゃないか!だが、今となっては無意味さ。人間ごときでは私を倒せない。」
「そうね、私が普通の人間なら倒せないわね。でも、今日は頭の冴えてる強い人なのよ。」
「そいつは面白いな。だけどよ、もうそろそろ決着つけてやるよ。もちろん私の白旗で締めてやるさ。お前らの演劇をな!」
そう言い放ち自分の姿を更に大きくし俺たちに襲ってくる。だが、その行動は一歩遅かった。
『ホーリーシャイン!』
イレーネが呪文を唱えたとき眩い光が彼女を包み込み光を放った。その光は四方八方に飛び散り反射を繰り返してドレイクにぶつかった。
「うおおおぉぉぉぉ!!!」
ドレイクの肉体というべきか、化けの皮というべきか、どちらにせよそれは消え去ったのだ。
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