第6話 イレーネとの対談

 いつの間に寝ていたんだろう。しかもソファーだ。

 あぁ、そうか昼食の後に眠くなって寝てたのか…

 「あ!起きた?」

 「ん…あぁ、起きたよ。もし邪魔だったら起こしてくれて構わないよ。」

 「そうなの?でも佑斗ぐっすり寝てたから起こすの悪いかなって。変に気をつかわせちゃってごめんね。」

 「俺は気なんかつかってないよ。そうじゃなきゃ'ぐっすり'寝るなんてことしないよ。」

 「それもそうね。」

 そう言って俺たちは無邪気に笑った。

 その時!俺は今までの自分を疑った。自分が恐ろしいと思う程に。何故この疑問に至らなかったのか…

 「イレーネ。どうして…」

 「どうしたの?」

 「どうして、君は俺の家にいるんだ?」

 「それはあなたが泊まってもいいよって言ってくれたから…」

 「いや、そうじゃない。どうして俺の家に入れたんだ?」

 「………」

 この沈黙は俺にとってはきついものだ。彼女の答えによっては俺の命も無いのかもしれない。それに加え彼女は明らかに動揺している。

 30秒ほど経過しのだが、体感では60秒はとうに過ぎている。

 彼女が重い口を開いたが、その答えはあまりにも突拍子もないものだった。

 「えっと、親に頼まれてさ。」

 「親?もしかして俺の親なのか?」

 「そ、そうそう!あなたのお母さんが私に面倒みて欲しいって。」

 「ふーん。俺の母さんがそう言ったのか。いつそう言われたんだ?」

 「え、いつって…あなたが教室で倒れた後に言われたの。」

 「俺が教室で倒れた時…あの時か…だけどな、イレーネに1つだけ教えておく。」

 「……」

 「それはな、俺の親は俺が中学に入ってすぐ事故で亡くなったんだ。」

 「え?そうだったの…?

 「あぁ、そうだ。だからイレーネ。君は嘘をついているということになる。」

 「うぅ…佑斗ごめんね。嘘をついたことは謝る。ただ、本当の事を話しても信じてもらえないと思って…」

 「じゃあ、その本当の事を話してもらおうか。」

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