第12話
伯生さんが私を避けている。
目が合うと逸らされるし、私がいない場所に逃げていく。
逃げているのかはわからない、本当にそこに用があるのかもしれないけど。
暴力は振るってこない。
ありがたいことだけど、今度は避けられるというのは、どういうことだろう?
朝起きてリビングに下りると、伯生さんがいたけど、私を見るとどこかに行ってしまった。
テーブルにはまだ3分経ってないカップ麺がある。
ちょっとしても戻ってこない。
この麺伸びそうだな。
同じ味はまだあったから、私が食べてしまおう。
と、箸を持ってふたを開けた。
麺を絡みとって、フーフーして、ズズっと啜る。
すると、ドタドタと足音がした。
「がっ?!」
振り向く前に、頭をぶっ叩かれて、私は吐き出した。
カップも倒れて、スープと湯気が広がる。
「な、なに……」
誰かはわかっていたけど、伯生さんだった。
私は文句の一つでも言いたかったけど、急にすごく悲しい気持ちのほうが大きくなって、涙が滲んだ。
すぐにあふれて、彼も何も見えなくなる。
戸惑うような息遣いが聞こえたけど、私は何もかも放置して、二階に駆け込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます