エピローグ

 その後、ホームズと西条最上は世間から姿を消し、執事飼いと仮面の男はココや青龍、デュアルハンターと渡り合った殺し屋として名を広める事となった。

 ミルダと青龍は魔術が解けた後それぞれ別の場所へ帰って行き、空亡は坂波の研究員に連れて行かれたのであった。

「そして少年、秋山零士は全てを知った上でクリスチャン・ローゼンクロイツと共に世界を変える為にその場を去った。これがこの争いの記録であり、真相だ」

 全てが見渡せるビルの上でそう呟くのはココであった。

 ココは傍観者であり、記録者である。彼は昔から争いを離れた場所から見ている事が好きであった。一歩引いた立場から全てを知っているという全能感が好きで仕方が無かったのである。

 そして彼は今回も途中でその場から身を引き、一歩は慣れた場所で全てを見ていた。

「何て事は無い。全てはクリスチャン・ローゼンクロイツの手の上で転がって居たに過ぎなかった。予期せぬ強者であった空亡も頑張っていたが一歩届かず、ホームズも相変わらず最善を尽くしていたが、彼の力ではこれが限界だったようだね」

 ココは静かに空を仰ぐ。そして息を大きく吸い込み、不敵に笑った。

「それにしても面白いものだ。情報によって平和を作ろうとしたホームズ、力によって平和を作ろうとした青龍、武器によって平和を作ろうとした西条、繋がりによって平和を作ろうとしたシェアリー、破滅によって平和を作ろうとした幽邑、託す事によって平和を作ろうとしたリトル、そして統一によって平和を作ろうとするローゼンクロイツ。それぞれがそれぞれの平和の形を実現させる為に争いを起こしているんだから面白い。表と裏が紙一重なように、まさしく善と悪も紙一重な訳だ。平和を実現させた者が英雄となり、実現させられなかった者は邪魔をした敵となる。誰が誰を殺し平和を実現させるのか。そして誰が世界を救う英雄となるのか、僕は楽しみにしているよ秋山零士」

 言い残しココはその場から姿を消したのであった。


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どうやら最強達が戦うそうですよ? 朝乃雨音 @asano-amane281

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