画竜点睛 #6
「ところでホームズ。君は誰が最も創世記に近いと思っているんだい?」
西条最上はマンションの一室でコーヒーを飲みながらホームズに訪ねた。
ホームズは少々考え、口を開く。
「どうだろうな。幽島とかいう奴は論外だとして、仮面の男や執事飼いのような指名手配Aランク指定の殺し屋も難しいだろう。坂波グループも強力だがおそらく厳しい。まあ可能性だけで言えば指名手配特殊Aランク指定のココが持って行って当たり前だが、あいつは興味が無いようだし、デュアルハンターもココと争っているようじゃ無理だろう」
「つまり僕たちが一番という事かい?」
「……今回の争奪戦は秋山零士に創世記を持たせ、彼を争いに巻き込むことから始まる。創世記はどうあっても秋山零士の元へ辿り着いてしまうため本当に手に入れるなら彼を殺さなくてはならないからね。しかし、彼を殺すには薔薇十字団をどうにかしなくてはいけない。俺たち二人ではそれは無理だ。だから俺は出来る限り大勢の人物を巻き込み、混乱を引き起こそうとしたんだ」
「なんだ、創世記なんて物の情報が世界中に広まったのは君の仕業だったのか」
まるでそれを初めて知ったかのように大げさなアクションを起こす西条最上を横目にホームズは話を続けた。
「その通り、俺が広めた。創世記を求める目的はそれぞれ別々であるが、薔薇十字団が平和の為に求めている限り、正義は彼らにある。だから薔薇十字団の中にも亀裂が走っている今、行動を起こし、混乱を呼び、情報で有利な俺が先頭に立てるようにしたが……」
ホームズは言い淀み、コーヒーを飲みながら何かを考えている。
「どうしたんだい君らしくもない。不安要素でもあるのかい」
「不安要素ならいくつもあるさ。お前もその一つだからな。何時何処で誰が参戦するか分からない状況だからこそ、俺が有利になるんだ。しかし、妙な胸騒ぎがしてな。まあ大丈夫だとは思うが」
「君でも迷ったり悩んだりするんだねぇ」
困るホームズを見てニヤニヤといやらしく笑う西条最上。
そんな中でホームズは若干の不安を抱えながらも、それを打ち消す事は出来ず、争奪戦まで時が迫っていくのであった。
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