碧奉館の真実 後編

当時ウェルナー青年は同世代の女性から人気があった。真面目で優秀で体格も良く、しかも恥ずかしそうにはにかむような笑顔が母性本能をくすぐったのかも知れない。そんな彼に最も熱い恋心を抱いたのが宗家のオリビア姫だったという。


「しかしそれは大変な事でした」

いくら王家同士とはいえ身分が違いすぎる。第一オリビア姫は当然のことながら、ウェルナー青年も恋愛経験など無いに等しく、当時のエミュールはたとえ成就しなくても失礼があってはならないと考えたという。王妃は黙ってその話を聞き続けた。


「そこで彼に自信をつけさせようと考えたのです」

一瞬、王妃から怒りのオーラを感じた。それを感じ取ったエミュールは無言で頭を下げた。謝っているというより悔悟の念を感じたようだった。


「続けなさい」

王妃はそう促した。


男に女性への自信をつけさせるなど誰が考えても行き着く先は同じである。そしてこの王宮には丁度お誂え向きの施設があるではないか。


「一体誰が考えたのでしょうねえ」

ミランダはにこにこと微笑みながらそう言った。しかしソフィアは疑問を持った。


「待って下さい、質問があります」

ソフィアは勇気を出して質問を口にした。館長として聞かなくてはならない。


「後宮の館をそんな簡単に利用できるものなのですか?」

侍女のソフィアにすれば後宮内の宮殿邸館は一大権威の象徴である。


「考えてもみたまえ、西の離れの館ファーウェストハウスの役割とは碧奉だろう」

王族男子の初体験とは、つまり一生に一度のことなのだ。


「それに王族男子だからといって必ず西の離れの館を利用するものでもない」

むしろ宗家に近い男子はそんな施設を利用するのを嫌がる者が多いという。


「若い君は知らないだろうが、当時の西の離れの館は廃館同然のものだった」

もちろん利用者など滅多におらず、せいぜい週に一度清掃が入る程度だったという。


「申請はすぐ許可されるという話だったが、ひとつ問題があった」

それは、その碧奉たる相手が必要なのだ。


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「その時は別に何も問題だとは思わなかった」

エミュールはそう言った。高級娼婦にでも頼めばいいかと軽く考えていたという。


「しかし、いざ探してみると意外と面倒でな」

適当に約束した娼婦を申請すると不認可と言われた。理由を訊くと後になって問題が出るような相手では許可できないと言われた。つまり娼婦などもっての他だという。


「じゃあどういう相手ならいいのか、と訊くとこれが大変でな」

まず身元がはっきりと判明しており、かつ不倫や浮気ではく、しかも秘密を厳守できることを証明できなくてはいけないという。


「過去の例では貴族の未亡人が最も多いと聞いて驚いたよ」

そんな相手など見つかるわけがない。エミュールはそう言ったという。


しかし真面目で忠義者のエミュールは上官の息子に何とかしてあげたくて街中を探し訪ねたという。そして画廊で肖像画を買う風を装って身元を訊き出していたときに、たまたま絵画を売りに来た当時のセルゲイ医師と再会したのだ。


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「これがあの時の少女なのか?」

エミュールはその絵画を見てセルゲイ医師にそう確認した。


「美しくなっただろう」

セルゲイ医師は煎豆茶を飲みながらそう言った。


2人はカフェで再会を祝し近況を確認しあった。そして話は急速な勢いを出して走り始めたという。


「まずその時は絵画を預かり、陛下、いや当時のウェルナー君に見せたのだ」

まず彼自身がどう思うかが重要である。結果は大変良好なものだった。ウェルナー青年は一目見るなり是非ともこの女性に会いたいと言った。王妃の目がきつくなる。


次いでエマ自身への確認である。もちろんこれは自由意志であり強制はできない。しかし説明すると彼女はあっさりと承諾した。


「やることなかったし面白そうだったしね」

そんな簡単でいいんですか?


最後に申請である。彼女は東エレアからの難民であり、現在は医者の養女であり、またこれは正確ではないがナリア語をあまり解さないと言い繕ったら認可された。


「あの頃はもうぺらぺらだったけどね」

碧奉様はにへらと笑いつつそう付け加えた。


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苦労して設えた逢瀬の場は大変な結果をもたらした。ウェルナー青年はまさに耽溺したといっていい。半日の使用予定は次々に延長となり、気がつけば一週間もそこに籠もっていたという。


「いくらなんでも長すぎるよ」

申請窓口からそう言われ、2人が説得してようやく館を出たウェルナー青年は別人のようにやせ細っていたという。


しかしその効果は抜群だった。今までは女性に話しかけられても禄に話せなかったウェルナー青年は、ある種のクールさを身にまとったのだ。そしてそれはオリビア姫に更に熱い気持ちをもたらした。


「あの頃の陛下は随分と女性扱いがうまくなりましてねえ」

ミランダはいつも通りのにこにこ微笑を浮かべたままそう言った。そういえばミランダはこの話をどこから知っていたのだろう。


「…すっかり騙されたわ…」

王妃は憎々しげな表情でそう言った。


「私はあの頃、ようやく彼が打ち解けてくれたのだと思った」

それまでは一緒にベンチにすら座れなかった彼がなんと足を組み、アイスクリームを頬にくっつけるという悪戯までしてくれた時は本当にどきどきしたという。


そして王女は父王を激論の末ついに論破してウェルナー青年と結婚したのである。


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夢のような結婚と新婚旅行と初夜、それに老齢の父から王位継承の話が出た頃、オリビアは人生で最も幸福な時期だったという。結婚の翌年にはウェルナーは摂政となり、同年中に7代目国王を継承した。ウェルナー2世の誕生である。


「寵姫を手配させたほうがいいと言ったのはあなただったわね、ミランダ」

王妃はミランダをまっすぐ見てそう言った。


「ええ覚えていますとも」

ミランダはにこにこ笑顔でそう返答した。


幸福な結婚生活にも夫婦喧嘩くらいはある。ほんのささいな行き違いであり、ウェルナー2世もすぐに謝ってくれたのだが、生まれてはじめての経験にオリビアは大変なショックを受けたのだ。


「御夫婦はあまりにも仲が良すぎましたからね」

むしろそれは返って危険だと言ったという。オリビアにとっては寵姫など不愉快極まる話であり、最初は言下に否定したのだが


「いささか、陛下は体力がありすぎるかと」

もちろんオリビアは一般的な男女の睦事の内容など全く知らない。毎日夜20時から深夜2時頃までへとへとになりながら愛を育むことしか知らなかった。


ミランダから一般的な男女の睦事の真実を聞いて、オリビアは初めてこの状態が異常だと知ったのであった。


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人間というのは不思議なもので、どれほど異常な状態でも、それと認識しない限りはかなりのところまで耐えられるものである。しかし逆に、それが異常だと認識すれば途端に耐えられなくなる。


オリビアはミランダから話を聞いた夜からもう耐えられなくなった。いつもより早く愛の行為を切り上げて、翌日にはミランダに寵姫の話を進めるように指示、いやお願いしたのである。


「いざ寵姫が来れば別になんとも思わなかったわ」

最初の寵姫マーガレットはしおらしく見えて実はこれは陰湿な女だと直感した。こんな女に負けるわけがないと思った。後のエヴァンゼリなど論外である。むしろどこでこんな女を拾ってきたのか聞きたいくらいだった。しかしいつの間にか西の離れの館に住み始めた女には強く警戒せざるを得なかった。


「最初は西の離れの館なんて存在すら認識していなかった」

今でこそ太宮長としての決済は全てシーラに任せっぱなしだが、当時のオリビアはそれなりにちゃんと仕事をしていた。そうした中で西の離れの館という聞き覚えのない館に誰かが住み始めたことに気がついた。


「まさかそんな所にウェルナーの隠し寵姫が居るなんて思いもしなかった」

そもそも寵姫はオリビア自身が推薦した話である。隠す必要など全くないのだ。最初の頃はジークフリードあたりが女を連れ込んでいるのかと思ったという。


しかし後宮に住んでいればそのうち噂は聞こえてくる。何でも西の離れの館には大変妖艶な体香をもつ絶世の美女がいるという話だった。そしてオリビアは密かに侍女に調べさせて真実を知ったのだった。


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「あなたは、どの段階からこの話に関与したの?」

王妃はミランダに向き直ってそう訊いた。


「そうですねえ、どこからと申し上げれば」

この話の最初のさらに前からだと言った。さらに前?


「まあでもそこまで行くともう申し上げてもしょうがない事かと」

ミランダはにこにこと微笑みながらそう言った。


考えてみれば不思議である。今の話だと当時ミランダは王妃に仕えていた事になる。いくらスペシャリストとは言え侍女の階級では最下級の女中がである。そんな事ってあるのだろうか。


「王妃様がご興味おありのところで申し上げれば」

西の離れの館に再び住まわすのを手伝ったと言った。


「何故?」

王妃は粘り強くそう訊いた。


「他にどこにも行けなかったからでございますよ」

お金もありませんでしたしね。ミランダはあっさりとそう言った。


「人間的にはともかく、それは私に対する裏切りでは?」

王妃は厳しくそう言った。


「結果としてはそうなってしまいますかねえ」

ミランダは全く臆せずにこにことそう答えた。


「ただ」

ミランダは言葉を続けた。


「ただ?」

王妃は訊き返した。


「私の主は王妃様ではございませんからねえ」

ミランダはものすごい事をあっさりと言ってのけた。やめて怖い。


「…あなたの主はその女という意味?」

王妃はむしろ冷静になってそう訊いた。ミランダはまあちょっと違いますがと前置きしてさらなる秘密を打ち明けた。


「私の主は今も昔も慈尼じに様でございます」


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慈尼。それは巫女であり、一族の名前でもあり、そして厳密には一族の中でもその力を発現したものがそう呼ばれるという。


「私は慈尼の一族なのですよ。もちろん力は発現しませんでしたが」

なんとなんと、これまたすごい秘密が出てきたぞ。


放浪の巫女たる慈尼一族は、ある程度の集団に分かれて世界中を旅しているという。ただしその力が発現するものは少なく、その集団で力の発現者がいなくなると、再び力の発現者が現れるまでその土地に定住するという。


「私が若い頃に、私達の最後の慈尼様がお亡くなりになられて」

そしてミランダの集団はこの王国に定住した。以後ミランダは慈尼に仕えた経験を生かして侍女となったのだという。


「王妃様はご存知ないでしょうが」

ミランダはそう前置きした。


「ガリウス1世陛下の頃は慈尼一族は保護されていたのですよ」

なんと4代国王の名前まで出てきた。もう生きる歴史だよこの人。


慈尼無き慈尼一族は、しかし慈尼への忠誠心は決して変わらなかった。王国側もそれを認めた。職能集団として国王の臣民ではない国民として居住を認可したのだ。


そうか、だからミランダは万年女中なのか。臣民でないものに後宮内の職制である侍女としての高位階級を与えるわけには行かなかったのか。


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「皆さん、ずいぶんと長い昔話をありがとう」

王妃はやや皮肉めいてそう言った。


「お待ち下さい!」

ソフィアは再び勇気を振り絞って口を出した。


「まだ聞いていない話があります」

そういうとソフィアはロランド博士とミランダを共に見つめた。


「博士の最初の仮説についてです」

ロランド博士は、ん?と言った感じで眉を上げて言葉を促した。


「慈尼は周囲の人間の負感情を緩和させるという話でしたが」

それが力なの?それに聞いた限りではその影響は博士しか体験していないのでは? あの体香は慈尼のものとは関係ない?


「そうか、忘れていたよ」

ロランド博士は苦笑しつつもソフィアの指摘を認めた。


「まず、慈尼の力については私よりミランダさんから説明したほうがいいだろう」

そう言ってミランダに説明を促した。


「慈尼様のお力は、決まったものでも、ひとつでもないのですよ」

ただ多いのは博士の指摘通りの"和の力"だと言う。


「体香については知る限りでは当代様が初めてですねえ」

ミランダは碧奉様をそう言い表した。


「でも、その和の力というのはどうやって実証したのですか?」

ソフィアはそう聞いた。後にソフィアはこの時の質問を随分と考えるようになる。


「ああ、それは」

ロランド博士は苦笑した。


「もちろん実証したよ。手順が逆になったがね」

ロランド博士はにやりとしてソフィアを見つめ返した。どういう意味?


「ソフィア・ディア・リングフォード」

思わずはい!と返事をしそうになった。


「大陸歴1359年度上級侍女次席、リングフォード王家の傍系で父は王国騎士、侍女技能は全般的に優秀、交渉事は目上に弱く目下に強い。前向きな性格だが猪突猛進。部下との信頼関係構築は優れているが反面やや反発心が旺盛。特記事項として同期のミシュア・ウェリントンとの確執が大きく懸念される」


ソフィアはその言葉を聞いて青くなった。


「昔の君の評価だよ」

ロランド博士はにやりと笑った。


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そうか、そうだ。何で忘れていたのだろう。



思い出した。あの無表情が嫌いで嫌いでしょうがなかった。顔を見るのも嫌だと言ったこともあった。それは生理的なものと、ライバル心と、嫉妬から。


「今は随分と仲良くやっているようだね」

ロランド博士はその悪魔的な笑顔を見せた。


「私のことを調べたの…?」

ソフィアは恐ろしさに震えながらそう訊いた。


「君だけじゃないさ」

実証実験だったからね。ロランド博士はそう言った。


「さあ、もういいかしら?」

王妃はそう言った。


「過去の話はとても興味深かったわ。次は現在と未来の話をしましょう」


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「さて、慈尼様とお呼びすればいいかしら」

王妃はまっすぐと碧奉様、いや慈尼様、あるいはエマを見つめた。


「あなたは、ウェルナーをどう思っているの?」

女が女への質問でこれほど深刻なものはないかも知れない。


「…好きだよ、王妃様とは違うかもだけど」

碧奉様はそう答えた。


ぼふ


王妃はその大きすぎる2人がけソファを叩いた。テーブルが遠くなければテーブルを叩いていただろう。


「あなたは!私の最愛の人を奪ったのよ!今も!」

そんないい加減な回答は許容できないと言った。


「ごめんね、別におじゃまする気はなかったんだよ」

碧奉様は困ったような顔で、しかし優しくそう言った。


「ひとつだけ確認するわ」

王妃は碧奉様を睨みつけたまそう言った。


「あなたとウェルナーの間には本当に子供はいないの?正直に答えて」

さっきの訂正。こっちのほうが深刻でしたスイマセン。


「いないよ、どういうわけか妊娠もしたことないよ」

碧奉様は静かにそう答えた。


「これは医学的な根拠があるわけではないが…」

ロランド博士は横から口を挟んだ。


「精力が強すぎる男の中には、逆に子供に恵まれないものもいる」

王妃は黙って視線をロランド博士に移した。


「実際、王妃様もお子様は王女お一人だけではありませんか」

たしかにそうだ。それだけハッスルしてたらもうすごい命中しそうなのに。


「そうね」

王妃はあっさりとそれを認めた。


「じゃあ安心しました」

王妃の表情はやや改まった。なにか表情が固くなった気がする。


「まだ先になると思うけど、あなたに差し上げます」

何を?


「ウェルナーと離婚してグレイシーを女王として擁立します」


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今までの会話もそれぞれに大きな衝撃を伴ったが、それは過ぎ去った過去のものだ。今度は未来へ向かう大衝撃だった。


「王妃様!」

エミュールは大きな声で王妃を呼びかけたが、逆にもっと大きな声で叱咤された。


「黙りなさい!近衛兵上がりの侍従風情が!控えなさい!」

王妃の実に王族らしい怒りは凄まじかった。先程の碧奉様への怒りはあくまで女同士のそれだったが、王族の権威を伴う怒りはその場にいる人間をたじろかせた。碧奉様やミランダですら驚いて目を見開くほどだった。


王妃は冷静を保とうとしていたが鼻息がここまで聞こえてくる。


「失礼しました」

呼吸が平常になるとそう言って軽く頭を下げた。しかし、何となくだが、その謝罪はエミュールへは向けられていないように感じた。かわいそ。


「離婚しちゃうの?」

碧奉様はそう確認した。


「今すぐではありません」

グレイシー王女がもっと大きくなってからのつもりだという。


「…私がいなくなればいいのかな?」

碧奉様はそう言った。もはや何も言えなかった。


「いえ」

王妃は短く否定した。


「私の夫、いえ恋人はもういません」

最初からいなかったのかも知れない。王妃は仮面のような顔でそう言った。


「なので、その時にはどうぞウェルナーと幸せにお暮らしなさい」

その際は今までの慰労金として1000万ディードと、毎年20万ディードの非課税年金を生涯に渡って支給するという。ただし、と王妃は付け加えた。


「この王宮内での居住は認めません」

王妃は無表情にそう言った。


「またウェルナーには退位後の尊号は贈与しません。爾後リングフォード姓を名乗ることも許可しません。仮にこれから子ができても王族とは認めません」

もう殆ど存在抹消に近い。そして最後に付け加えるように言った。


「また二度とこのような事がないように、その時には西の離れの館は廃館とします」


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廃館。


ソフィアは足元ががらがらと崩れ落ちるような錯覚に襲われた。え?私たちはどうなるんですか? というか私は? ソフィアは口に出したわけではないが、その心の中の質問は王妃に伝わった。というか表情で伝わったらしい。


「まだ先の話ですが、まあ爾後はあなた自身の能力の問題では?」

そもそも31歳の館長など若すぎますからね、と付け加えた。


「邸館管理官としての業務を欲するなら南の池のそばの邸メゾンデサウスポンドもありますしね」

あんなところに行くなら降格のほうがまだまし!


南の池のそばの邸はもはや監獄と化していた。従来の侍女たちは買い出しにすら出ることはできず、食事は全て配給だという。中がどうなっているのかは分からないが、聞いた話だと2階の一部以外は全てカーテンで覆われそれは一切開かないという。


「オリビア、もうやめてくれ」

その声に皆が入り口を見る。至尊の存在は涙を流してそこに立っていた。


「全て、すべて、私のせいだ。彼らを責めるのは止めてくれ」

ウェルナー2世は泣きながらそう言った。


「これはこれは陛下、ご機嫌麗しゅう」

王妃は氷の針のような声でそう夫を迎えた。


「そうじゃないんだ、オリビア」

ウェルナー2世は頭を振り、そしてその部屋の中にいる人々を見渡した。


「どうやらここは懺悔室らしい、私も懺悔させてもらおう」


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「私は、君が怖かった。いや畏れていたというべきか」

ウェルナー2世はそう懺悔を始めた。


「美しくて気高い君があまりにも眩しく、そして怖かった」

ウェルナー2世は王妃をまっすぐ見つめてそう言った。


「西の者は私を好きだと言ってくれた。私も彼女を好きだ」

ちょっとおっさんなにいっちゃってんのよ。


「しかし、私が愛しているのは君とグレイシーだけだ」

おっとそう来ましたか。でもちょっと安っぽくないそれ。


しかし世間に疎い王妃にはわりと効いたらしい。その仮面のような顔に人間の表情が少し浮かび上がった。


「恥ずかしくて言ったことはなかったが、私は若い頃、何度も君の夢を見た」

そしてその夢で飛び上がって目が覚めることも多かったという。どういう事?


「どういう意味ですか?」

王妃もそう訪ねた。


「女性には伝わらないかも知れないが」

そう前置きしてウェルナー2世は言葉を続けた。


「君のその髪、その顔、首筋、腕、手、あるいは足や腰などを何度も夢に見た」

それは目を覚ますほどの刺激として襲ってきたという。


「なんというか、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになった」

うーん、分かるような、分からないような…?


しかしこれは男どもには伝わったらしく、ロランド博士もエミュールもジェシノもうんうんと頷いていた。


「女神の乳房を見てしまったようなね」

ロランド博士はそう表現した。


「1歳年上の女性上官の着替えを見てしまったことを思い出しました」

エミュールはそう言った。


「付き合う前、妻の胸元が見えたときにはどきりとしたものさ」

ジェシノも思い出を語った。


なんかおっさんたちの覗き自慢みたいになってきたぞ。


「男ってそういうとこあるよ」

碧奉様はにへらと笑ってそう言った。


「女を神聖視しすぎるんだよね。だから好きな相手の性を感じるともうへろへろ」

ああ、なんか何となく分かった。そういえばアンリも最初そうだった。


「…愛の告白、と受け取っていいのかしらね? 些か尾籠に感じますが」

はいそうですね。前半も後半もおっしゃる通りだと思います。


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「恥ずかしながら、私は少し精が強い」

いや相当なものだと思いますよ。


「それで西の者にも随分と迷惑をかけた」

碧奉様はにへらと笑っただけで何も言わなかった。


「寵姫の話を伝え聞いた時、私は振られたのだと思ったのだ」

ああなるほど。そういう風に受け取ったんだ。


その勘違いはウェルナー2世を捨て鉢な気持ちにさせた。所詮自分は王族とも言えない卑賤の身だ、あんな姫君とうまくいくわけがなかったんだ、ならば卑賤の身にふさわしい相手でも探して勝手にやるさ。


そんな気持ちで最初の寵姫マーガレットを迎えたがこれが全く相性が合わない。口を開けば宝石が欲しいだの、どこかに遊びに連れて行って欲しいだの、そんな事しか言わない。そんな時に初体験の相手を思い出したのだ。


「寵姫として迎えなかったのは、マーガレットの様になって欲しくなかったからだ」

以前すこし予想したことは正解だったらしい。実際に金品を与えることはできても、そんな売春みたいな関係では嫌だろう。


「エヴァンゼリは、悪いがあれは気の迷いだ」

王妃も碧奉様もマーガレットもみな割と痩躯であり、ふとした時にあの豊満な身体に魅力を感じただけだったという。それはそれでひどいよ陛下。


「私は、最初はともかく、皆が思うほど西の者に溺れたわけではない」

確かにウェルナー2世が碧奉館に訪れるのは大体月一回だった。昔は知らないけど。


「しかし年を追う事にオリビアとの関係は難しくなった」

勘違いから発生した公認非公認の浮気は歳月と共に夫妻の仲を冷却化した。そのためさらに性欲を持て余したウェルナー2世には碧奉様しか相手が居なくなったのだ。


「これもまた恥ずかしいことなのだが」

王妃と同じく、ウェルナー2世自身も自分の精力が強すぎることを理解していなかったという。それ知ったのは皮肉な事に浮気相手のマーガレットや碧奉様から直接そう言われたからだという。


「私だって初めてだったけどさ」

碧奉様はちょっと恥ずかしそうににへらと笑いつつそう言った。


「いくらなんでもこりゃないよって思ったもん」

ああとても大変でしたでしょうね。


その言葉に王妃は顔を赤らめた。そう、今の碧奉様のように感じた事をそのまま素直に言えば良かったのだ。しかし高度な教育を受ける王族は、逆に教わっていない事に弱いのだろう。先程聞いたアイスクリームの話や夫婦喧嘩も同じだ。分からないし、誰も教えてくれないし、相談することも思いつかない。だから対処できない。


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「これが、私のこれまでの懺悔だ」

そして、これからの話をしよう、とウェルナー2世は言った。


「先程、扉の向こうからオリビアの条件を聞いた」

まあ立ち聞きしていたんだろうな、とは思っていました。


「それについては概ね異論はない」

本気ですか陛下。


「西の者への慰労金と年金、私の退位と姓を捨て王宮を出ること、全て異論はない」

そんなに碧奉様と一緒にいたいの?ここまで来て?


「ただし一点訂正を求める」

訂正?どこを?


「私と一緒に王宮を出るのはオリビア、君だ」

えええええええ!?


その発言は今日一番の大爆発だった。おっさんどもはもちろんの事、碧奉様やミランダですらびっくり仰天の顔である。王妃に至っては理解が追いつかないのか、呆然とした顔になっていた。


「え、ええと?」

王妃は何を言われたのか分からない、というふうに戸惑いの声を出した。


「王族という虚飾の衣を脱ぎ捨て、一緒に暮らそう、オリビア」

なんとこれはすごい愛の告白だ。


「は、…はい」

承諾しちゃったよこの人。いやよく分かってないから生返事しただけかなこれ。


ふいに王妃は涙を流しながら笑い出した。しかし宗家の王妃は笑いすらも実にたおやかで、どこから出したのか白いハンカチを口に当てて笑っていた。


「…こんなに、悲しくて、怒って、声を荒げて、泣いて笑ったのは初めてです…」

王妃はかろうじてそれだけいうとたおやかに笑い、そして泣き続けた。そしてようやくウェルナー2世は王妃の横に座り、優しく王妃を抱きしめた。


「オリビア、愛している、本当に愛している、一緒にいてくれ」


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「当てられちゃったねえ」

碧奉様はにへらと笑いそう言った。着てきた厚手のローブを再びまとっている。


「いやはや、さすがはミランダさんだ」

ロランド博士は例の悪魔的な笑いをミランダに向けた。


「私は何もしておりませんよ」

キコキコとした歩調でにこにこと微笑みつつそう言った。


「…サー・セルゲイ、いやロランド博士、本当にありがとうございました」

ジェシノはロランド博士に頭を下げた。


「博士のご指摘の通りです。私は思い上がっていました」

殊勝にそう言うジェシノの肩をロランド博士はぽん、と叩いた。


「君の才能が嫉妬しているぞ、しっかり愛してやらねばな」

あんなことになったら大変だぞ、とロランド博士はウィンクしながら言った。


「…しかし、西の離れの館は廃館か…些か残念だな」

エミュールは感慨深くそう独りごちた。え?そうなんですか?


「いや、誰も否定しなかったし、もう必要ないだろう?」

ちょっと待ってくださいよ碧奉様と私達はどうなっちゃうんですか。


「まあまだ先のことだよ」

碧奉様はあっさりと言った。


「本当に廃館になったらどうなさるおつもりですか!?」

ソフィアは碧奉様にそう訊いた。


「そうなったらローブでもかぶって旅にでもでるよ」

もともと私たちはそういう一族だしね。碧奉様はあっさりとそう言うのであった。


「当代様が旅に出られるなら私も命ある限り共に」

ミランダはそう言った。うんよろしくね、と碧奉様も笑顔で返す。軽いなあ。


私はどうすればいいんだろう。単に館長という立場へのこだわりだけでなく、碧奉様も碧奉館もなくなったら一体どうすればいいんだろう。


そんなことを考えつつ、皆と一緒にとぼとぼと廊下を歩いていると、目の前に6人の近衛兵が敬礼していた。エミュールが敬礼を返す。


「ご苦労だった」

エミュールがそう労った。


「ご無事でなによりです!」

先頭の士官がそう声を上げた。


その見知らぬ近衛兵はソフィアにも同じことを言った。ええとどちら様でしたっけ?


「お初にお目にかかります。いつも妻がお世話になっております」

…え、まさか?


「ミシュアの夫、テリー・ラウザーです」

まだ20代半ば程の若い近衛兵はそう言って再び敬礼した。


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「ああ会ったんだ」

まさかミシュアの夫が年下の近衛兵などと想像もできなかった。一体どこで知り合ったの? どういう経緯で結婚したの? 生活はどうなってるの? 疑問が多いとかえって言葉は出ないもので、ソフィアは口をぱくぱくさせるだけだった。


「まあ適当にやってるよ」

あっさりとそういう同期主席なのであった。


ミシュアはそれ以上は余計なことは言わなかった。言う必要のない事ばかりだった。例えばかつて自分を嫌いぬいたこの女が、久しぶりに会ったらなんかマスコット化してて面白かったとか、これが死んだらちょっともったいないからテリーに王妃の考えそうな事を教えたとか、そんなことはもう終わった話だった。


王宮での事はテリーからも聞いている。もし本当に廃館になったらテリーとソフィアたちを連れて私もついていこうかなと軽く考えるミシュアだった。まあ多分そんなことにはならいと思うけど。


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「あーあ、結局出番なしかあ」

アイリはそう独りごちた。せっかく隠し武器をいくつか買い揃えていったのに控えの間で待っていただけだった。なんか館長たちは面白そうなことになってたのに。


「無事が一番よ」

ファイはそう言った。誰にも言わなかったが実はファイも武術の嗜みがあり、同行を申し出たのは万が一の時は彼女も戦うつもりだったのだ。


「もう、危なっかしいもの買っちゃって」

イヴはアイリが購入した武器を見て呆れてそう言った。こういう無駄遣いがローンの一番の敵なのに。


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「お疲れ様でした」

事務次官執務室でシーラはミランダを労った。


「いえいえ、楽しかったですよ」

ミランダはいつものにこにこ微笑でそう答えた。


「もし本当に西の離れの館が廃館となったら彼女と旅に?」

シーラは伝え聞いた情報を確認した。


「ええもちろん」

それが慈尼の一族ですからね、と答えた。


「…老師はそれをお望みなのですね」

シーラはミランダをそう呼び、本意を確認した。


「まあ本懐は遂げられないとは思いますけどねえ」

ミランダは微笑を浮かべたままそう答えた。そしてシーラも微苦笑を浮かべる。


「お若い時にギブアップなされた王妃が、今更太刀打ちできるとは」

侍女最高位の弟子と、最低位の師は共に静かに笑い始めた。


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「なんだかとても美しい絵ね」

ジェシノの妻は夫の描く絵を見てそう感想を言った。


「そうかな?」

ジェシノは笑顔で答えつつ筆を振るっている。


何があったのかは知らないが、王宮での仕事が終わった後の夫は明るくなった。何かふっきれたようにも見える。


その絵は写実画にも関わらず、夫はずっと自宅で描き続けていた。この絵画には特定のモデルはいないと言ったが多分それは嘘だろう。想像だけでこれほど美しい女性を描くことができるとは思えなかった。


「なんという題名なの?」

妻はそう訪ねた。ジェシノは絵筆を振るいながら答えた。


慈しむ人ザ・コンパッション


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グレイシー王女は不機嫌だった。


今まではにこりと笑えば誰でも好きなものをくれたし、すこし怒ればなんでもいうことを聞いてくれた。でもこの新しい教師はなにかというとわたしのテクニックを見抜くのでちっともうまくいかない。


「王女、嘘はいけませんよ」

家庭教師はにやりと笑ってまたも彼女の計画を目茶苦茶にするのだ。


「さあ嘘をついた罰です。今日は算数のドリルを10ページやりましょうか」

もう!なんなのこのハゲアタマは!


ロランド博士はこのわがままな王女を少し好きになった。エマよりずっと反抗的で面白い。これはやりごたえのある仕事だ。


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「廃館?」

王妃はカウチにもたれながらエミュールの質問を繰り返した。


「できるわけないでしょう」

王妃はオレンジジュースをちびりと飲む。その頬はげっそりとこけていた。


「むしろ増やしたいくらいだわ」

わだかまりが消え去った国王夫妻は新婚当時の激しさを取り戻していた。


王妃は疲労困憊といった体だったが、しかしどこか幸せそうだった。


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「ほう、イルミオ山には温泉施設があるのか」


ウェルナー2世の日常は少し変わった。僅かな休憩時間に窓から王宮を見るのはそのままだが、その手にはカップの他に旅行用のパンフレットがあった。


ウェルナー2世は極めて機嫌が良かった。王妃との長年の確執が終わり、信頼を回復したその営みは、選抜された侍女をして寝不足に追い込む程の力強さだった。


エミュールは何と声をかけていいか迷っていた。国王は本当に退位して王宮を出るつもりであるらしいが、つい今しがた王妃を拝察した限りでは、少なくとも王宮を出る気はなさそうだった。


陛下、いやウェルナー君。前から思っていたが君ちょっと単純すぎだよ。エミュールは心の中でかつての上官の子息にそう意見を申し述べた。


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なんであんな質問をしたんだろう。


ソフィアは居間でワインを舐めつつ、あの時の質問を思い出していた。和の力。何故そんな事にこだわったんだろう。うっすらと思うのは、心のどこかでずっとこの館の何かを不思議に思っていたのかも知れない。


ミシュアには悪い事をしたな。ソフィアは本心からそう思った。何故かつてあれほど嫌っていたのかがよく分からなかった。嫌っていたこと自体は思い出したし、その勝手な理由も思い出した。しかし当時の感情が分からなかった。


これが和の力なのかな。


「おお、やってるやってる」

碧奉様、いや慈尼様は、相変わらずのにへら顔でワインを嗅ぎつけてきた。


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「くっはあ、おばちゃん以下略」

勢いよく飲んでいるように聞こえるが、ちょっと舐めただけである。


「…慈尼様」

ソフィアはそう呼びかけたが、それはちょっと、と言われた。


「ああでも碧奉だとちょっと都合わるいのかな?」

にへら顔のまま彼女はそう言った。


「…本当のお名前は覚えていらっしゃらないのですか?」


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イューウミェアは問いにどう答えればよいか考えていた。事ここに至れば教えるのは構わないのですけれどね。わたくしを正しく発音できるかしら? 慈尼じにたる者の名前はとても重要な意味を持つのです。エマなどという単純な発音を許せば其方そなたわざわいをもたらしましょう。


このナリア語という言語は、習得は簡単なのですが、表現も発音も単純に過ぎて、わたくしが思う事を適切に伝え辛いのです。


其方が誠心からわたくしを気遣ってくれているのはとても良く判っております。わたくしもとても感謝をしております。ですが余り心配はなさらないようにして下さい。それは其方に携わる者に迷いを生じさせましょう。


わたくしが其方とこうして酒盃を交わすのは実は意味があるのです。慈尼は本当に信頼しうる者としか酒盃を交わしません。其方には唯の寝酒ではありましょうが、これはわたくしが其方にし得る最大の感謝と信頼の証なのですよ。


---


「まあいままでどおりでいいんじゃない?」

そう言うと結局碧奉様のままの主はグラスをちんと合わせてくれた。簡単だなあ。


「…碧奉様」

ん?と言った感じで碧奉様は眉を上げた。


「私も懺悔したいのですが聞いて頂けませんか?」

何故こんな事を碧奉様にお願いするのだろう。でも何故かそうしたかった。碧奉様はうんと頷いてくれた。


「私は以前ミシュアを嫌っていました」

碧奉様はソフィアの告白を黙って聞いてくれていた。


「それが彼女に本当に申し訳なく、また恥ずかしいのです」

「そう思うなら賃金あげて」

びっくりして振り返ったらなんとミシュアがいる。え、大丈夫なの?


「鼻に綿ぎっちぎちに詰めた」

よく見ればその美しい鼻が大きく膨らんでいた。


「もらうよ」

そう言うなり持参したグラスにワインを並々とついでそれを一気に飲み干した。ちょ、ちょっと大丈夫なの?しかしこの無表情な同期は全く平気そうに2杯目を注ぎ、それもまた一息で半分ほど飲み干した。


「強いんだねえ」

碧奉様はあっけにとられつつ笑ってそう言った。


「なにかあったの?」

ソフィアはそう訊いた。ミシュアがお酒を飲むところなど初めて見た。


「やってられないよ」

ミシュアは無表情のままそう言った。え、なになに?


「あのガキ当てやがった」

はい?


ミシュアは腹をぽんぽんと叩いた。ええええええええ!?


「ガキがガキ作ってどうするんだ」

ちょっとお酒絶対ダメでしょ!? ああ、あとおめでとう!


「という訳で碧奉様」

ミシュアは碧奉様に向き直った。


「もし旅に出るならこれが自力歩行できるくらいまで待って下さい」

我が子をゼンマイ人形みたいに言うミシュアだった。産む気はあるのね。


「ミシュアちゃんおめでとう。わかった待つよ」

碧奉様はにへら顔のまま微笑んでそう言った。


「じゃああとはよろしく」

そう言ってミシュアは鼻から綿を引き抜いて思いっきり深呼吸した。そして当然の事ながらそのまま白目を向いてばたりと倒れた。ちょっとあんた。


「ミシュアちゃんかわいい。ありがとね」

碧奉様はにへら顔よりもう少し慈しみのある微笑みを浮かべてそう言った。


そして今更気がついた。ミシュアは碧奉様が旅に出るなら一緒に行くと言ったのだ。というよりそれが前提みたいな言い方だったけど。


ミシュアは碧奉様とほとんど会話をしたことがないはずだ。館に居るのはその体香につられていただけかと思っていたが、ミシュアなりに碧奉様を慕っていたのだろう。いや体香につられてついていくという意味なのかな? 母?


ふいにソフィアは気がついた。慈尼の一族とは、本当に慈尼の力を持つ者と、それを慕う者たちの集団がその正体なのではないか。となるとミシュアと夫のテリーさんとまだ名前もない彼らの子供も慈尼の一族となるのだろうか。


いや、私もそうなるのかも。むしろそうなりたい気持ちが湧いてきた。

夜空を見上げると太白はもう遥か遠くだった。


---


アレクサンドロ・ジェシノの「慈しむ人」は彼の代表作となり、後に人類の至宝とまで称される事になる。「慈しむ人」は彼の出世作である「微笑む少女」とのモデルの関連性が指摘されるが、現在までその議論に決着はついていない。

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