福岡ダナモNight
……全く、大変な目にあった。いや全くだ。本当に、とっっっっっっても!大変な目にあった!
おいおい、金髪チャンネーのナイスバディを拝んでおいてその言い草はなんだって?……うるせー!俺にとっては、おっぱい<推しなんじゃい!どれだけ大きなおっぱいだとしても推しには……か、勝てんのじゃい!
あの後、俺も風呂に入ったが、どうやらその間に二人でお酒を嗜んでいたらしく、李梨沙は顔がほんのり赤くなっており、エリーに至っては大の字になって床でぐーぐーといびきをたてて寝ていた。まぁ、その前から飲んでたからしょうがないといえばしょうがないな。
はぁ、寝顔だけ見たらこんなに純粋そうなのになぁ……いや、純粋だからこそ本当に興味があったものには猪突猛進なのか?そうとすれば優里の日頃の苦労が窺えるな……
「あら、彼女をベッドに運んであげたの?」
「あー、そうっすね。さすがにあれというか……」
歯磨きを終えて戻ってきた李梨沙がエリーを見てそう言う。
あまりに無用心に大の字を決め込んでるもんだから見えそうなところが見えそうで怖いのよ。恐ろしくひどい寝相、俺じゃなきゃ襲っちゃうね。
いや、それよりも、だ……髪を完全に乾かしきれておらず少し毛先の方はまだ湿っているのか、彼女のトレードマークである美しい銀髪が神々しく煌めいており、彼女の色気を十二分に引き出している。
李梨沙、美しい。うん、お金払いたい。あれ、お金?おかね、オカネ……
…………ん?あれ?もしかして、この状況って、ヤバナイ?
先ほどまではエリーの勢いに押されてというか、状況にのまれていたというか、この元トップアイドルである推しが部屋にいる異常事態を少しばかり軽く捉えていた。なんか慣れてきたところもあったしね。でも、うん、よく考えなくても色々と普通にやばいな。
「あのー、李梨沙さん」
「……リリちゃん」
……あ、リリちゃん。すっかり忘れてた。じと目でこちらを睨んでいる推しもかわいいゾ!酔ってるんだな、よしよししたい……
「……リリちゃん、あの、今日は泊まりでも良いんですか?」
「ん?どういう事?」
こんな質問が来る事を全く予想していなかったのか、首を思いっきり90度近くまで傾げ、何言ってんだこいつ感を演出している。
「おかげさまでというかなんというか、エリーも無事寝つきましたし……その、リリちゃんみたいな有名な方が本当に……泊まるとなると何かしらのご無理はしていないのだろうか、と思いまして……」
ここ最近で一番緊張した。赤ちゃんが寝つかない時のお母さんかよと心の中で突っ込みながらも、1番の懸念点であるなんか無理してない?をおかしい日本語で伝える事ができた、と思う。多分。いざ推しを前にすると日本語出てこんねんほんま。
「……ダメとよ?この子は襲っちゃ」
「襲いません!!」
顔を真っ赤にしてそういう李梨沙。てか、は、って自分は!?自分は襲われても良いって事なんですか!?そうなんですか!?
「ふん。それにもう私は芸能関係はしてないので気にしなくてもいいんよ。そんなことより、なんでこの子とお泊まり会をする流れになっとると?まさか日常的にこういう事をしとるんやないやろうね?というかいったい何人女友達いるんよ!」
「ちょ、リリちゃん、静かに!エリー起きちゃう!」
どんなやりとりだよ。新婚さんなのかい?俺たちは新婚さんなのか?いや、
そうだろう!……いや、調子乗りました。リリちゃんもとい李梨沙さんのお顔が出会った初期の顔へと逆戻りしている。いや、顔が赤い事もあり本当に鬼の形相と例えた方が良さそう……鬼は少し可愛くないな。……まるで、怒ったレッサーパンダだ。
「本当に……もう、いいけん私たちも早く寝よ」
諦めたのか、話を続けずそういう李梨沙。
「あー、布団一つしかないんでリリちゃんはそっちで寝てください。俺はそこらへんで寝とくんで」
「何言っとるとよ、家主にそんな無礼はできんよ。ほら、早く布団敷いて一緒に寝るよー」
「…………」
?
??
???( ◠‿◠ )???
?????? (@⌒ー⌒@) ??????
ね、る?一緒に?あー、一緒ってあれか、共にと同義のあれか?いや聞き間違いでヨイショと言った可能性もあるよな。あ、リリちゃんはまだ飲み会を続けたいのか〜も〜悪い子なんだからっ⭐︎ でも〜まんざらでもないってゆ〜か〜、むしろ嬉しいっていうか〜……
……は?
「まじっすか?」
「そ、そんな聞き返されたら照れるやん!ほら、早く!」
「……まじっすか」
そう言って自分の荷物を片付け床面にスペースを作る李梨沙。おーこれはタイヘンナコトニナッタ……ばい。
あう
あう!?
あう!
あ、う?あ、あれ?放心してたら、どこかの森みたいにテテーンしてた!うわ、一緒の布団に入ってるだなも!背中越しだけど!背中越しだけど、温もりは確かに感じる!ぬくぬくだ!何言ってんだ!
俺ってもしかして、めちゃくちゃ運いい?いやオタクとしてファンとしてこの状況はどうなんだなも?…………ま、いっか♡
「……大地くん、起きとる?」
んあ?この耳にいい美声は、聞いたら聴力バフがかかるともっぱら噂の囁き声は我がお〜し〜〜〜李梨沙〜!!!!!
「起きてますよ?狭いですか?」
「……ずっと聞きたかったんやけど、あの時のことさ、君は覚えとる?」
意を決したかのような間を抜け、頭の方から聞こえる寝息に声がかき消されないように彼女は彼の方へと体勢を変え、彼にのみ聞こえるような声量でそう、呟いた。
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次回投稿日は10/5(火)です。
新作短編
『誤作動から始まる隣人お姉さんとの同棲生活』
を掲載しました!お時間がありましたら是非とも御一読お願いたします!!
▼URL
https://kakuyomu.jp/works/16816700427713931088
続きが早く見たい!面白い!と思っていただけたら是非評価、お気に入り、レビュー、ブックマーク等をしていただけると助かります!創作意欲がさらに高まります!
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