抜け駆けは許さんとよ!



「……えとー、エリーさん?なんでそんなに近づいてくるんじゃろうか?」


「んー?なんのことデスー?」


「そんな国民的家族のちびっ子を真似してもダメでーすー」


「……ばーぶぅ」


「はいはい、ほらもっと寄ってくださいよぉ……」


 ……こ、こいつ、まじなのか!?まさかこんな美女が本当に俺をいただきますしようとしてるのか!?突撃隣の晩御飯ならぬ、バイト先の同僚を晩ご飯にしよう!なのか!?


 こ、こわい……俺はこれから襲われるのか……ん?まてよ?よく考えたらめちゃくちゃ美味しい状況じゃない?金髪の巨乳超絶美人から迫られる状況なんて、これからの人生で訪れる事なくないか?


 もうこれはやるべきでは!?据え膳食うべきでは!?ついに童の貞を卒業するべきでは!?


 …………いや、それはできない。

 俺はDo貞だ。だからこそ夢がある。

 俺は絶対に彼女で卒業したいんだ!李梨沙の為にもチャラオタクではなく、清純派オタクでいたいんだ!(?)ここでプライドを捨てちゃいけない!


「やっぱだめじゃーーーい!!!」


「もう!なんでそんなに逃げるんデスカ!

 テレビでもしてますよ!ほら!ほーら!」


「ほらほらじゃありません!こういう事は好きな人としかしちゃダメなんだぞ!」


「それなら大丈夫デスネ、ダイチのこと好きですモン〜」


「え、キュン……ってキュンじゃない!

 何が本当か今は判断できないが、これだけは言えるぞ!俺はこんな風になあなあでDo貞を散らせたくはないんだ!」


「……むぅ、ダイチってたまに淑女のようなことを言いますよネ。目つきはゴミムシなのに」


「辛辣かよ……ふっ、侮るなかれよエリーさん。俺は君とは違って経験など皆無なのだよ!」


「何を威張ってんデスカ……ん?君とは違って、とはどういう事デスカ!私だってまだした事ないデスヨ!」


 ……?


「……ま?」


「……ま、とは?第一、私がそんな経験豊富なオナゴに見えますかー?ダイチだから出来るとおもったのデス!だからしましょうヨー!」


「……あれ?もしかして、俺って今告白されてますか?」


「んーや?されてませんよ?」


 ……?

 き、聞き間違いか?


「……まさか、俺と付き合いたいとはなぁ」


「いや、そういう事ではないですよ?」


 ……ん?????(^_^)


「…………じゃあ好きとは!?」


「友達としてって意味デス!セフレです!」


「……君本当にショジョ?」


「Yeah!」


「それはジョ○ョ……ポーズ完璧かよ……」


 好きって言ってたから告白なのかと思ったが、まさか友達としてとは……恋愛経験が皆無なことが裏目にでたのか?恥ずい恥ずいぞ顔があっちっちだ。


「はぁ、なんか色々ありすぎて疲れた。てか、なんでいきなりしたくなったの?」


「……学校の皆んながあまりにも楽しそうに話すから、そんなになのかなって」


「なるほど、興味ほんいってことか」


 まぁ、別に否定も驚いたりもしないよ。俺もエリーもそんなことしててもおかしくはない歳だし。


 でもそれよりも驚くべきなのはエリーも初めてだという点だよな。さすがにあの美貌なら一人や二人、なんならさっきはサッカーできるくらいの経験人数もあるもんかと思ったし。これも優里のマネジメントによるものなのだろうか……?


「はぁ……エリーならやろうと思えばできるでしょ、なんでわざわざ嘘ついてまで俺んとこきたのよ」


「他の人じゃダメですよ。でも、ダイチならいいんです。光栄に思ってクダサイ!」


「うへぇ、わけわかめ……」


 ピーンポーン


 そんな話をしていると部屋にチャイムの音が鳴り響いた。


「誰か来たみたいだから出てくるわ」


「む〜。いってらっしゃいデス」



 お!?


 確認してみるとそこには大好きな大好きな推しの顔があった!


「……こ、こんばんわっす」


「あ、こ、こんばんわ……あの、これ今日の……」


「え!ありがとうございます!嬉しいです!」


「んーん、その、作りすぎたからさ……この頃何故か妹がたくさん食べてたから余らなかったけど、今日はお腹壊したみたいで……」


 なるほど、この頃来てくれないとは思っていたが、何を気づいたかリカちゃんが妨害していたのか。そしてそれもたたってお腹を壊したと……いったいどちらの料理を食ったのだろう……南無三。



「ダイチー、えらく長いですねー?大丈夫ですかー?」


「……は?」


 俺があまりにもながく玄関で話していた事を心配したのか、奥の部屋からエリーが俺を呼ぶ。それはいいけど、目の前の推しの顔が一瞬にして、知り合いたての頃くらいに凶悪なものへと変貌した。


「……大地くん?

 もしかして、今だれか部屋に来てるの?」


「あー、バイト先の同僚がドラマを見に……この前の水族館の時の金髪の子ですよ」


「……ふーん、あの子、あの子ねぇ。

 てか付き合ってもないのにこんな時間に?帰らせんつもり?もしかして帰らんでお泊まり会すると?付き合ってもないのに?そんなことして、いいと?」


「うっ……で、ですが、今日帰る場所がないらしくて、断れないんですよ……」


「……むぅ」


 いつもと違ってすごい饒舌な推しに少し圧を感じる。何故かはしらんが今めちゃくちゃ怒って、る?


「……まる」


「へ?」


「私も泊まるって言いよるとよ!あの子がいいなら私もいいって事よね!嫌とは言わせんけんね!ちょっとまっとって!」


「え、ちょ……」


 そう言うと李梨沙は俺が言葉を発する前に自分の家へと走り戻った。それもすごいスピード、目にも止まらぬとはこのことか。


 てか冷静に考えて、今から俺の家に推しくるの?マジ!?……もしかして、今から神イベント到来なの!?


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 いやぁ〜面白いなぁ!続きが気になるゾ!と思っていただけたら是非星の評価、お気に入り、レビュー、ブックマーク等をしていただけると助かります!創作意欲がさらに高まります!☆☆☆!3つ!

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