美女たちの化かし合い(?)




「いやーペンギンは相変わらず白黒デスネ〜」


「白黒じゃないペンギンっていんの?」


「うるさいデス大地。今はゴミムシみたいな顔してます。余程、梨沙とまわれるのが嬉しいようデスネ〜」


 そう言って前屈みで俺を見てくるエリー


「そんな嬉しそうにしてたか?」


「えぇ、とってもデス!」


 俺はだいぶエリーのムシ語について理解してきた。大雑把だが、


 ゴミムシ→嬉しそう

 ダイオウグソクムシ →悲しそう

 コガネムシは……なんだろうな、情報が少ないからわかんね。


 わかった人は下のURLにでも連絡をくれ、情報をまとめて卒論でも書くからさ。


 ririsadaisuki0707@■■■.■.■


 いつもこのメアド教えたら2人に1人は顔をひきづらせるのはなぜだろうな……

 李梨沙、いや梨沙は今 優里さんと二人でイルカを見ている。なんで二人きりになったんだろうか。気になる。いや、気にならない方がおかしい。


「優里たちが気になるのデスカー?」


 イルカプールの方を見ていたら、エリーがそう話しかけてた。


「あー、うん。二人きりで何を話しているんだろうと思ってね……」


「ムー!大地!目の前にこんな可愛いJKがいるのに他の女性を気にするなんてひどいデス!鬼畜デス!」


 エリーがそういうと周りのお母さん方が一斉にこっちを見た。え?俺まだそんな勘違いされるほど老けてないよね……?


「鬼畜て……エリー、それに君はJKじゃなくてJDだろ! もし変な勘違いされたら、俺本当に市中引き回しの刑だよ……」


「なるほど!それは大変デス!じゃあこのことは二人だけの秘密にしまショー!」


 ザワザワ……


「だ、だから変な言い回しはやめろってば!!!」







 ***





「……で、どうして私たちは二人でイルカを見ているの?」


 私は白瀬という女性に話しかける。

 確かこの人、大地くんの家に一回来てた人よね……


 なんて羨ま……ゴホン。バイトの同僚って大地くんは言ってたけど、仲良くなければわざわざ休日にまで遊びの約束なんていれないわよね。


 しかもこの人、今日初めてこんな近くでみたけど、すごく美人……


 今までいろんな可愛い人や美人な人を見てきたけれど、全然負けず劣らず、いや勝っているといっても過言ではないほどに……


「……あなた、大地くんの大学の友達じゃないでしょ」


 え?


「……なんで?大地くんだってそう言ってたよね」


「ふふ、あの人はね、隠し事がある時唇を少し噛む癖があるのよ。隠したいことがあるのなら、ちゃんと指摘してあげないとダメじゃない」


 そう言って白瀬は私に妖艶な笑みを見せる。


 ……な、なんなのこの女!

 私の方が大地くんの事をわかってるって言いたいの?確かにそんなこと知らなかったけど!


 でもどうしよう、当たってるんだよね……。今は疑惑を少しでも払わなきゃ、大地くんに迷惑がかかっちゃうかも……


 一番手っ取り早いのは私が帰る事なんだろうけど、それだけは悪手中の悪手。絶対にこの女はこの機を逃さず大地くんに今以上に迫るわ。


 恋心があるかは知らないけれど必ず。この女にはやると言ったらやるスゴ味があるもの!!!……思わず心の中でジョジ○立ちしちゃったじゃない。


 とにかく!今はまだ帰れないし、帰りたくない!せっかくここまで尾行……いや、水族館にきたんだもの。こんな事で水族館デートを諦めるわけにはいかない……


「そ、そうね。今度大地くんにも言っておくわ。」


「あら、そうだったの?彼にそんな癖があったなんて初耳だわ。ということは本当に大学の友達じゃなかったの?」


 …………うん?

 も、もしかしてこの女、カマをかけただけなの?


 やられた……見事にやられた……汗の味を舐めるまでもなく嘘だってバレるなんて。この女、一体何者なわけ!?


「……あなた、一体何が目的なの?」


「ん?いや、私は単にあなたとお友達になりたいだけよ?だって多分あなたも大地くんのことが好きなんでしょ?」


「いや、それはうん。……ってあなたもって、あなたも!?」


「そうだけど、そんなに驚くことかしら?」


「い、いや、それは……」


 ……最悪だ。

 そうかとは思っていたが、本人から改めて言われたら結構心にくる……ってことはこの女は私のライバル。だから早めに潰そうって魂胆なわけね……


 いいわ!受けてたとうじゃない!私だってだてにトップアイドルをやっていたわけではないわ!こんな事で潰されるなんて思ったら大間違いよ!


「ふふ、でもエリーまでここに連れてこないでよかった。


 あなた、サングラスとマスクで表情を隠していたとしても何もかもバレバレだったわよ?ここに二人できたのも、本当のところあなたがあまりにも隠そうとしていないものだから教えてあげようと思ってね。」


 ……?


「私が、隠そうとして……いない?」


「うん、そうよ。

 幸い今のところバレてはいないみたいだけど、私みたいに勘がいい人がいたらすぐにバレるわよ?あなたの素性も、恋心も」


 そう言って、私を鋭い目付きでじっと見つめる白瀬


 ……あれ?


 私はどうやら 白瀬 優里 という人間を勘違いしていたらしい。散々、私を試すように言って来たのも、私が榎本 李梨沙ってわかった上で、他者にバレることがないように注意してくれていたのね……


 そうよ、あんなに優しい大地くんの友達に、優しくない人なんているわけなじゃない!


「……教えてくれてありがとうね。確かに少し浮かれてたかも、私が榎本 李梨沙ってばれたら、大地くんにも迷惑かけちゃうしね。ありがとう!白瀬さん!」


 私がマスクを取り笑顔でそう言うと、白瀬は首をかしげ


「あら? あなた李梨沙さんだったの? どおりで大地くんの目がハートになってたわけね。さ、二人の元に戻りましょ、お腹すいちゃった」


 と言うと、彼女は優雅に大地くんたちの元へと戻っていった。





 …………うん。やっぱり私はこいつが嫌いだ。







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