第15話

「おはようございます。」

「ピーッ!」

「あっ、ノアさんおはようございます。」

「なにか、面白そうな依頼はありませんか?」

「そうですね。ノアさん好みの依頼といいますと、これなんか如何ですか?」

「はぐれドラゴンの捜索ですか。このクラスって軍隊の仕事じゃないんですか?」

「確定したら軍が出動するんですが、”ドラゴンみたいだった”程度なので確認だけなんですよ。」

「これって、もしドラゴンだったら狩っちゃってもいいんですか?」

「ですから、ノアさん好みかなって……。」

「アレルさんも私の好み分かってきましたね。嬉しいです。」

「こんなに頻繁にギルドに来てくださるSランクさんってノアさんだけですからね。退屈させるわけにはいきませんから。」


 私は高速レビテーションで目撃情報のあった北の町に向かいます。

 北の町の冒険者ギルドへいってカウンターで依頼書とSランク証を見せます。

「王都ギルドからまいりましたノアと申します。これの情報をいただきたいのですが。」

「えっ!Sランクのノアさんって、王族の……。」

「いやですわ。冒険者の時は王族なんて関係ありませんから。」

「で、ですが、失礼があったらクビになるって噂が……。」

「そんなことあるわけ無いじゃないですか。」


 ドラゴンは通常特定のエリアに棲んでいます。そのエリアから出て活動している個体を”はぐれドラゴン”と呼んでいるんです。

 ”はぐれ”は、気性の荒い個体であることが多いため、被害が出る前に討伐することが求められているわけです。

 目撃場所の情報を得た私はレビテーションで捜索に入ります。

 時々見かけるオーガなどを狩りながら移動していきます。

「うん?あれかな。」

「ピーッ!」

 今回の目撃情報では、二足歩行タイプのドラゴンです。

 樹木の上に顔を出し、獲物を求めてキョロキョロしています。

 後ろに回り込んで背中に氷の矢を打ち込みます。

「背中は硬いみたいですね。おなかはどうかな?」

 腹部に矢は刺さるものの、たいして深くは刺さりません。

 ギョエーと叫びながら噛みついてくるドラゴンの歯を避けながら腹部に氷槍をぶち込みます。

「槍は有効ね。素材が欲しいから焼くのはもったいないわ。」

 攻撃を避けながら氷槍30本を打ち込んでやっとドラゴンは息絶えました。


「確かにドラゴンでした。ほかには見当たらなかったので、これ一体だと思います。」

「そうですか。では早速王都に連絡して、軍に出動を依頼しますね。」

「大丈夫ですよ。倒しましたから。」

「ピーッ!」

「えっ?」

「確認が必要ならお見せしましょうか?」

「え、えっ?」

「室内では出せませんので、表で出しましょうか。」

「出すって、どういうことなんでしょう?」

「このリュックは特別な仕様になっていて、大きな獲物でも入れられるんですよ。」

「そ、そんなの聞いたことがありませんけど……。」

「私と妹しか使えませんからね。」

「ちょ、ちょっと待ってください。ギルド長を呼びますから。」


「な、なんだこれは……。」

「私が倒したドラゴンですけど。」

「ど、どうやって倒したんだ。」

「氷の槍を30本ちょっと打ち込みました。」

「いや、詠唱が間に合わないだろう。」

「詠唱なんて使いませんから。」

「詠唱しなかったら魔法は発動しないだろう!」

「えっと、あの岩でお見せしますね。」

 私は無詠唱の氷矢を披露した。割らないように威力は抑えてあります。

「あっ、そんな馬鹿な……。」

 ドラゴンをBSに収納して依頼書にギルド長のサインをもらいます。

「せっかく来たので、何か困っている依頼があればやっていきますよ。」


 20メートルの魔大蛇を討伐して私は王都に帰りました。


【あとがき】

 20メートルの大蛇からとれる革と肉……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る