第13話
私たちがお土産に買って帰ったのは、ミルクスイートというカップに入った黄色のスイーツだった。
「えっ、なにこの柔らかな食感!」
「ホント、口の中に入れると溶けちゃうみたいです。」
「「美味しい!」」
「うーん、美味しいけど……、私、食べたことあるかも……。」
「えっ、ノアってコレ食べたことあるの!」
「というか、作ったことあります。」
「どういうこと?」
「私、料理はできないんですが、趣味でお菓子作りを続けていたんです。」
「貴族の嗜みの一つですわね。」
「一通りメイドから教わったあとは、オリジナルの菓子をいろいろと考えたんですよね。その中の一つがこのプディングなんです。」
「プディング?」
「ええ。私がつけた名前です。もともとは暖かいミルクに砂糖を入れて飲んでいたんですが、母が体調を崩して寝込んでいた時にこのホットミルクにタマゴを混ぜれば栄養をとれるかなって。」
「た、確かに栄養価は高そうね……。」
「飲みやすいように、冷ましていたら冷やしすぎちゃって……。」
「その結果生まれたのがこのプディングってわけね。」
「ええ。試しに食べてみたらとても美味しかったので、我が家で開くお茶会の時には定番になっていました。」
お母さまの希望で、新鮮な卵とミルクを買ってきてプディングを作ります。
「作り方は簡単なんですよね。砂糖とタマゴを混ぜてミルクを加えて弱火でゆっくりと混ぜ、あとは冷やすだけです。」
冷やす時にはザルで濾しながら器に入れます。
「お茶会用に考えた、カラメルソースがけバージョンにしましょう。」
「カラメルソース?」
「ええ。グラニュー糖を水で溶いて焦がさないように熱するんです。いいアクセントになるんですよ。」
出来上がったプディングを器から出して皿に乗せ、カラメルソースを垂らしてミントの小さい葉っぱを飾りに添えて完成です。
「どうぞ、お召し上がりください。」
「す、凄いわノア。白いお皿に黄色のプディング。それにカラメルソースがアクセントになってとても上品な仕上がりなのね。」
「貴族のお菓子!ってイメージね。」
「「きれいです!」」
「いっぱい作りましたから、メイドさんたちもどうぞ。」
「「「ありがとうございます!」」」
「ああ、さっきのよりもなめらかな感じ……、それにカラメルソースのほろ苦い甘さがアクセントになっていて……、最高よ。」
「「世の中にこんな美味しいものがあったなんて知りませんでした。」」
「「「幸せですぅ~♪」」」
「これは、王妃を招いてお茶会決定ですね。」
数日後、王族の女性たちを招いてお茶会が開催されます。
その席上で、私たち四姉妹も紹介していただきました。
「我が家の娘たちが作ったプディングです。どうぞお召し上がりくださいませ。」
皆さんの反響は凄かったです。
「陛下ったら、なんでレオ殿の養女にしてしまったんでしょう。ああ、我が家で受け入れていれば……。」
「よろしかったら、作り方を教えてくださらないかしら。」
「かまいませんよ。」
後日、希望者やメイドさんを招いて講習会を開きます。
普通なら秘伝にするレベルらしいのですが、今回は私たちの名前を売るために利用するそうです。
貴族街で、砂糖・グラニュー糖・ミルク・タマゴがとんでもなく高騰してしまいました。
【あとがき】
今日は通院だったので少し文字数が少ないです。ごめんなさいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます