第8話

「村の近くには3匹だけでした。これが討伐の証拠の魔石になります。」

「おお、こんなに早く片づけてくれたのか。」

「ええ。ついでに少し探索の範囲を広げたところ、20匹のオーガを発見しました。」

「20匹も……。」

「全部片づけておきましたが、これだけ発生しているのは魔力の澱みがあると思うのですが、それは発見できませんでした。」

「おお、そんなところまで気にしてくれたのか。」

「こちらが依頼書になります。ご確認のサインをお願いできますか。」

「ああ。うん?討伐数は23匹じゃないのか?」

「ご指定のエリアにいたのは3匹ですからこれで結構ですわ。」

「それは助かるが、いいのか?」

「ええ。上質な魔石が手に入りましたし、エリア以外の場所は私が勝手にやったことですからね。」

「うーむ……、これまでの冒険者は何かと追加の報酬を求めてきおったが、お前さんは違うようじゃな。なにより素早いし、来た時も被害の有無を気にかけてくれた。」

「当然のことですよ。人命が最優先ですからね。」

「ありがたいことじゃ。ノアさんじゃったか……、次に問題が起きたときにもお前さんにお願いしたいんじゃが……。」

「指名依頼だと割高になってしまいますから、ノアに頼めればなとか言ってくれれば大丈夫だと思いますよ。」


 初めてのオーガ討伐を終わらせて町に戻ります。

「ただいまです。」

「はあ、北の外れの村の依頼を日帰りで終わらせるのって、ホントに信じられないわね。」

「いや、依頼を渡した人がそんなこと言わないでくださいよ。これ、依頼書です。」

「うん。ちゃんと村長の確認サインももらってきているわね。オーが3匹だけだったんだ。」

「依頼のエリアにいたのはそれだけでしたから。」

「ということは、ほかにもいたのね。魔石は?」

「全部で23個ありますけど、これってどこで買い取ってもらえるんですか?」

「ここでも買取をやっているわよ。出してみてよ、査定してもらうから。」

「これですけど。」

「結構上質じゃない。ゲンさん、査定お願いします。」

 奥からお爺さんが出てきました。

「魔石か。これなら金貨1枚だな。」

「じゃあ、13個買取をお願いします。」

「そうすると、今回の褒賞をあわせて金貨16枚と銀貨5枚ね。貯めておく?」

「いいえ。ちょっと贅沢をしたいので現金でお願いします。」

「えっ、もしかして今日はご馳走なのかな?」

「明日ですかね。今日は色々と買いたいものがありますから。」


 家に帰って、3人で買い物に出かけます。

「どこにいくんですか?」

「服を買いに行こうと思っているんだ。」

「お洋服ですか?」

「そう。私も、ちょっと女の子らしい服を買っておこうと思って。」

「賛成です。ノアさん、冒険者の服しかないんですもの。」


 私は、前から気になっていたお店に入っていきます。

「こんにちわ。」

「いらっしゃいませ。」

「お城に着ていけるような服を作っていただきたいのですが。あっ、一応女なんです。」

「それくらいは分かりますよ。それで、どのような催しなんですか?」

「Sランク冒険者の認定式とかいわれました。」

「その同伴ということでしょうか?」

「いえ……、私が……。」

「えっ!失礼いたしました。女性で……、そのお若さで……、Sランクなのですね。」

「はい、一応。」

「かしこまりました。ところで、どうして当店をお選びいただけたのでしょうか?」

「表に飾ってある服がかわいくて、いつも見ていたんです。それで、こちらにお願いしたいなって。」

「光栄でございます。」

「それと、この二人も同行するので、同じようなものを二人にもお願いします。」

「まあ、こんな天使みたいなお二人の分もおつくりいただけるのですね。」

 それからサイズを測り、布を選んで店を後にします。

「本当に私たちの分まで……、よかったんですか?」

「もちろんよ。だって、二人はもう私の家族なんだから。」


 双子の目に涙がたまっていました。


【あとがき】

 構想では、田舎の町でひっそりとと思っていたのですが、いきなり表舞台に出てきてしまいました……。

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