第3話、見限られたのはお前かよ

瞬間移動でギルドに戻る。


「み、皆さんの実力はわかりました。

君、魔力量は計測不能にして、Sランク……いや、SSSランクで発行してください」


「SSSですか!」


「あれでもセーブされていた様子。

最高クラスでいいです。

それで、皆さんにはお願いがあるのですが」


「魔王なら、近いうちに討伐しますよ」


「魔王以外にも我々の手に負えない案件が4件あるのです」


「お困りのようですから、対応しますよ。

何をやればいいですか?」


「君、例の依頼書を」


受付嬢は戸棚からファイルを取り出し、その中の5枚を引き抜いた。


「1件目は西の山に住み着いたドラゴンの討伐です。

2件目は南の海のクラーケン討伐。

3件目は東の迷宮にいるミノタウルスの討伐

4件目は北の氷山にいるスノーモンスターの討伐

5件目が魔王の討伐になります」


「その5件をクリアすればこの国の問題はなくなるんですね」


「そういうことです」


「じゃ、先に4件を済ませてしまおうぜ」


「よっしゃ『テレポーテーション!』」


シュン!


「マルタ王国は、なぜあの4人を手放したのでしょうか?」


「余程のことがあったとしか考えられんよ」




そのころ、当のマルタ王国では国王と王子が口論していた。


「なぜ、あの6人を国外追放したのじゃ!」


「簡単なことですよ。

アーチャは僕の婚約者であることをかさにきて、妹のルイーザに嫌がらせばかりしたそうです」


「ルイーザなどどうなろうと何の問題もなかろう。

取柄もなく、単に媚びを売るのがやっとの女だぞ」


「何を言いますか。

僕の愛するルイーザにそのような罵詈雑言!

父上であろうと許せませんよ」


「ほかの5人はどうしたのじゃ」


「アーチャのかたを持つので、同罪にしました」


「ああ、なんということだ。

稀代の軍師と言われたアーチャであれば、お前のフォローして国政を任せられると思っておったのに。

ライディーンは兵士長に、マーリンは宰相候補じゃ。

エアリアルは魔法師団長でマニが財務局長。エターシャは側近頭じゃ。

これだけの人材で固めてあれば、いかにお前が間抜けであっても国は安泰じゃと思っておったのに」


「あの程度の人材ならいくらでもおります。

お任せください、ルイーザとともに立派な国にしてみせますので」


「ああ、そういうことか。

お前に追い出されたのではなく、そう仕向けたのじゃな。

見限られたのはお前か……」

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