第3話 よし、タイミングは完璧だ!
彼はまた時間を少し戻した。
クラスメイトに話し掛けられない為には、ギリギリのタイミングを狙って彼女の落下地点に行かねばならない。
急いで昇降口を抜けつつ、彼女の落下地点の近くで校舎に背を預けてグラウンドを眺めた。
直後、彼女の悲鳴が聞こえ、彼はすぐに落下地点で上を見た。
予定通りの位置に彼女は落下して来て、彼は両手で受け止め……きれず、彼女は地面に激突した。
校舎の屋上は地上15m。
自由落下すると、終速は約秒速16.7mつまり時速60キロだ。
彼女の体重が軽く見積もっても40kgとして、軽い気持ちで受け止められる訳がない。
想像してみて欲しい。
幹線道路を走る車から飛び降りて来た女の子を受け止めようと思ったら、身体を張って自分が犠牲になる覚悟が要るだろう。
そう、彼は甘く見ていたのだ。
だが、このチャンスを逃す訳にはいかない。
ガシッと彼女を受け止めるのだ。
「大丈夫?」
「う、うん、ありがと…(ポッ)」
彼は、明日からのバラ色の人生を思い浮かべて、気合いを入れ直した。
■タイミングが良くても無理だよね?
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