記憶喪失だけど水滸伝の世界に転移した話

すたりな

第1話 短編の序章

これはある国の話である


ノーザンテースト帝国は統一された。この国の王都は北登州。


 この土地は、南は温暖、北は寒冷という極端な温度差がある。その為、北と南では取れる収穫物も違う。


 最北端の地は海が面しているが、流氷と大渦があり、北からは船では安易に近づけない。



 つまり、大自然の要塞の地というわけだ。




 それまでのノーザンテースト帝国は小さな郡の集まりであり、一番大きい国がノーザン帝国で最も中央にある開封府。



 当時の皇帝である、キソウ皇帝が支配下にある国ではある。キソウ皇帝はハクレイという女性を側室に迎え入れた。それ以後は、ハクレイの父親であるハクキュウ大臣が公爵になり、政や軍事などの実権をすべて握っていた。



 ハクキュウは力を持つものを嫌った。現職の将軍を始め、何人もの領主など多くの人々が、冤罪や罪のでっち上げで処罰された。



 その後、処罰された人が持っていた神器を取り上げ、神器は側近に配布された。こうしてハクキュウ軍は最強軍隊になったという。



 賄賂が蔓延り、賄賂さえ渡せば罪が許され、賄賂を渡さなければ無実の罪でも処罰された。


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 ――ここはノーザンテースト帝国の北方のある地域。



 とあるときに、北登州に反乱軍が発足。北登州の領地軍は500前後。当時の反乱軍の兵力は200にも満たなかったが、北登州を掌握し、占領。


 その後、北方辺境領の清州へ攻め入り、官軍を破り、陥落させた。

数か月の間に近辺の密州領地、錦秋領地を掌握。この一帯を後に梁山泊領を改めた。


 梁山泊領の山賊集団の首領はオウリン。器量が狭く、自分より能力の高い人を拒む傾向があった。


 ――そう、ここまでは通常の時間軸では、ただの山賊の集団に過ぎなかった。

ある人物の到来によって、それは変わっていく。


 ある日、梁山泊領地に一人の男が舞い降りる。本名は不明だったが、その男はカンシンと名乗った。ダンジョン帰りと本人は言っていた。



 カンシンはある日、漁師村にある酒場を訪れていた。ある男たちを探して居たが、すぐに見つけることが出来た。


 声をかけられた男たちは、警戒していたが、酒を奢るから武勇伝を聞かせてくれと頼むとあっさり了解した。


 その後も数日に一度、カンシンはその男たちに酒を奢っていた。最初のほうにあった警戒心は今ではもうない。


 カンシンは時を待った。そして…………ある日、その時が来た!


 同じように酒を奢って武勇伝を聞いていたら、身なりの良い学者風の男が訪ねてくる。


 酒を奢っている男たちに用事があるようだが、カンシンはここぞとばかりにアピールし、学者風の男からの許しを得て同行する。


 到着した場所は庄屋をしている旦那と呼ばれる人の屋敷。


 カンシンは知る限りの未来を語り、庄屋の旦那と学者風の男を驚かせた。


――なぜか?


 カンシンは、賄賂を強奪計画を知っていたからである。


 別の人物から民から搾り取った不義の財であるから奪ってしまおう、と持ちかけられていたので、学者風の男の知略を用いて計画を実行する。


 その後、無事計画はうまく行き、屋敷に戻ったあとは、カンシンは驚くべき事を発言する。


「数日内に役人が来る」


 これに驚き、どうすべきかカンシンに尋ねた。カンシンは提案を進言し、学者風の男に旦那は訪ねるが、学者風の男はこういった。


 「カンシン殿、貴殿の策を聞きましょう」

学者風の男は進言した。


 「来るまでは用意に動くべきではないです。密かに準備をして、役人の人間が来るまで待ちましょう」

カンシンはそう進言していた。


 この策には誰もが意義を申し立てたが、学者風の男はその案にすべきと言ったため、採用される。


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 ――数日後


 カンシンのいうとおり役人の人間が来たのだった。――しかし、役人は旦那の知り合いだったという。役人は、役目柄上司に報告しなければならない。しかし放置できない。その前に逃げるように忠告にきたのだ。


 カンシンは成り行きに任せ、庄屋の旦那と役人の人間と話をして貰っていた。――こうして梁山泊領に逃げることにした。その際、カンシンは、梁山泊の首領は将来害になるので殺すように進言するが、庄屋の旦那は拒否。

 学者風の男は、「必要に応じて実行すべき」と、庄屋の旦那に釘を指していた。


 ――こうして、梁山泊に到着。その後屋敷にて酒宴に招待される。


 優れた人物なので首領の地位を奪われるのではないかと恐れ、仲間入りを拒む首領のオウリンは、受け入れを拒否したため、その場で部下に殺される。


 旦那は新首領として迎え入れる旨を説明されるが、旦那は拒否。回りからの強い推薦があり、そこまで言うならと承諾して首領になる。


 その後の梁山泊軍は、郡州の山賊と手を組み、自然の要塞を築き、前線基地とした。カンシンはここでも光った。様々な防衛策、武器などを提案し、富国強兵に勤めた。


 こうして、戦力を増強。この時には、戦力は一万を超える勢力になっていた。これに危機を感じたハクキュウが隠蔽して、キソウ皇帝に一切の情報を流してなかった。


 ある時、ひょんなことから事実が発覚し、これにより責任の追求されたが、自ら討伐軍を率いる事で責任の所在を棚上げにした。


 ハクキュウは考えた。有象無象の山賊どもを滅ぼしてしまえばいい。そうすれば、恩赦が貰え、責任を逃れることが出来る、と。



 ――こうして開封府よりハクキュウ軍率いる十万の軍勢で郡州に攻め入った。



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梁山泊領――北登州砦にて。


 「首領、大変です! 開封府よりハクキュウ軍が出陣!その数十万!」


 「な、なんだとぉ!」「十万の大群だと!」「どうすればいいんだ!」

各々が驚きうろたえる。


 「すぐに戦闘態勢をとるんだ」

首領は落ち着いて皆に命令していく。


 「「「「はっ!」」」」



 この頃カンシンは、軍師補佐の地位にあった。


 本来、この首領はすでに亡くなってたはずであるが、カンシンが予見したため共に同行し、死の危機を回避させた。


この功績により、この集団において発言力を増していたのである。



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一刻が過ぎた頃――場内談話室。



「首領、北登州軍、一万余り準備が整いました」

部下の一人が報告する。


「よし、皆のところに行く」

こうして首領は城壁の上に顔を出した



首領はこの時、カンシンに「演説をすべき」と進言されていた。



――砦内高台。


 首領は、この場に立っていた。庄屋のころとは立場が違う。堂々と皆の前に立つ。


 「皆のもの――聞いてくれ。都より討伐軍が10万こちらに迫ってきている!」

誰もが不安そうに首領を見ていた。



 「しかし、我々はあのような政治を認めない!弱者を蔑ろにし、罪なき人を陥れ、賄賂さえ渡せば許される世界でいいのか? …………いや、そうではないはずだ!」


 「ここには幾多の才あるものたちが集っている。我々に出来ぬ事はない!」


 「我々は、圧性に苦しんだ! 皆の者、今こそ、我らの義を天下に示そうではないか!」


 「「「「「「「「「おおおおー」」」」」」」」」

こうして梁山泊軍1万はは士気が高い状態で戦地へ向かうのであった。



 ――その後、激戦につぐ激戦。苦労の甲斐あって、ハクキュウ軍は敗走する。



 こうしてハクキュウは敗戦するのだったが、ハクキュウは恐れた。このまま都に戻れば処刑されるのではないかと。



 ――敗戦後、都に戻らず軍備を整えてから都に帰還することになった。宮殿に居るキンレンに密書を送りつつ。



 ――数日後に、キンレンの手引きにより城門を開門。ハクキュウの軍勢が宮殿になだれ込む。こうしてハクキュウの裏切りによって開封府は陥落。キソウ皇帝は処刑になり、ハクキュウが皇帝になった。



 この悲報はノーザン地方全土に知れ渡った。

当然ながら各地で反乱が起こった。



 北登州改め梁山泊軍は、リシュン率いる南の反乱軍【京超府軍】、ベンショウ率いる西の反乱軍【広陵軍】、ケイエイ率いる東の反乱軍【延安軍】と四大同盟を結んでいる。


 「不用意に敵対するよりも味方にすべき」


 ――そう、カンシンの進言である。無事同盟も実り、開封府へ攻めるために暁の4同盟で進軍した。


 また、逆臣ハクキュウを打つべく儀式を行ったことも世間の評価を得て梁山泊軍が盟主として降臨しつつ進軍した。

 当然これもカンシンの進言だった。


 半年にものぼる戦闘は無事ハクキュウ軍に勝利!

開封府にてハクキュウを公開処刑にした。



 この後カンシンは手を抜かなかった。軍備を強化し、富国強兵にすべきと進言したのだ。誰もが勝利ムードで不要ではないかと言われたが、「内部の敵を打ち破っただけに過ぎません。外から敵が攻めてきます」とカンシンが言ったので、首領と軍師になっていた男は進言を取り入れることになった。


 こうしてノーザン国は統一され、四大同盟の盟主だった北登州の首領が皇帝になり、北登州に遷都となった。

 この時ノーザンテースト帝国と名前を改めることになった。この出来事により内部の結束力は高まり、他国より侵略されにくい堅固な国になったという。

 




 「帝国には巨万の富がある」



 これを知ったグランドフォート王国の国王は、すぐにノーザンテースト帝国を手中に収めようとする。グランドフォート王国の国王は多数の神器保有国という情報を仕入れていた。多数の神器さえ得ることが出来れば、世界を手中に収めることも夢ではないと思ったからである。



 グランドフォート王国は内戦の情報をつかんでおり、内戦のどさくさに紛れて侵略して掌握しようとしていた。



 …………しかし、予想より早く内戦が終了しており、それを知らないグランドフォート王国はノーザンテースト帝国地方に攻め入るが、ノーザンテースト帝国の強さに惨敗。



 ――そう、本来であれば、ノーザンテースト帝国の内戦は収まることはなく、グランドフォート王国の思惑通りに進んでいたかも、しれない。

 ある転移者の存在が無ければ!


 その後不戦条約を結ぶことになる。


 ――しかし、ある事件が起こり数年後、再び開戦してしまうのであった。

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