第23話 休憩してたら熊が来た

この前、竹刀に魔導力を込めて振り下ろした

ら体育館のドアが吹き飛んだ。

今度は木刀に魔導力を込めたらモンスターが

吹き飛んだ。

魔導力は使い方を誤ると危険だ、ふとした拍

子に出ないようにしないと、とんでもない事

になる。僕は少し手が震えた。


下から先生と実行委員会の生徒達が上がって

来た。

山ミミズを解体して中の生徒は救出された、

大怪我もなく命に別状はないらしい。


「さ、先行こう!」


マコトが笑顔で呼びかけると、皆意気揚々と

歩き出した。

あの化け物を見て意気揚々となれるのが凄い

多分元の世界にあったパニック系の映画を

見ても彼らは大爆笑するかもしれない。


「山ちゃん、あのさっきのデッカい奴まさか

ボスとか?」


「いやぁ?多分並位じゃないかな?」


「あれで並…」


いやいや嘘だろあのサイズで並かよ。

と、言うかこの世界の高校生の遠足がモンス

ター退治って親は何も言わないのかよ…


更にさっき山ミミズの体液だらけになった同

級生を見てゾッとした。

「ああなりたくない…」


しかしながら山道の風景が元の世界と違い過

ぎる、全く風景に見覚えがない。

しばらく上り坂を登ると先に小さい広場があ

った。

「ここで休憩しようか」


山ちゃんがそう言うと近くのベンチに腰を落

とした。

片山さんと山ちゃんがペットボトルの飲み物

を飲んでいるのを見てふと思った。

マコトの魔導力で何処でも水が飲めるので

は?

「マコト、お願いがあるんだけど」


「な、何?」


「魔導で水出してよ、水飲みたいんだ」


「は?はぁ!?何言って…」


あ、これはマズいワードを言ったっぽい。

片山さんは目を見開いて手から火が上がって

いる。

「マ、マコト!な?ケンジは疲れてるから…」

(このケンジはこっちの世界のケンジじゃない!)


「あ、そ、それもそうねホホホ…」

(あ!そうだ!忘れてた)


「け、ケンジ一緒にトイレ行こうぜ」


「う、うん…?」


少し離れた所で山ちゃんが小さな声で教えて

くれた。

「ケンジ、魔導で出した物をちょうだいって言うのは、こちらの世界ではあまり良くない事

なんだ」


「え?マジで?」


「自分から出した物飲ませてって考えたらど

うよ?」


「ああ〜…何となく分かる気もする、じゃあ

僕が言ったのは"オシッコ飲ませて"と同じ位ヤ

バいの?」


「いや…そんな感じではないかな、例えるな

ら…うーん…」


「例えるなら?」


「マコトに"母乳飲ませて"って頼んだ感じ」


「…めちゃくちゃヤバいじゃないか」


広場に戻るとマコトに謝った。

「ごめん、さっきのミミズで気が動転してた、本当にごめん」


「そ、そうよね!大丈夫気にしてないから…

ハハハ…」


「皆…クマ…来た…」


「片山さん、まさかクマなんてこんな人里

に…ヒイイイイ!」


片山さんが指差す方向の森から巨大な影が

出てきた。

広場に現れたのは巨大な熊だ、しかも二足

歩行をして近付いてくる。

体長は2mを超えてるのではないかと思う位

巨大だ。

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