第16話 この世界のルール2
小柳先生の教え方が良いからか、すぐ魔導力
が見えるようになった。
更に魔導力が自身から発生出来る事が分かる
と、面白くなり色々と試してみる内に段々と
その力に慣れていくのを感じた。
魔導力は例えると湯気や煙のように見える。
手をじっと見ると、手からブルーの薄い煙が
立ち上りすぐ空中に消えている。
徐々に薄い煙の形をイメージした形に変えた
り丸い玉のようにして空中に放ったりした。
屁のように股から魔導力を手で放つのは、
お決まりの男子の遊びであろうか。
小柳先生の授業では魔導だけじゃなくて、
この世界の常識や風習も教えてくれるのは
大変助かった。
特に「パーティー」は同じ言葉でも決定的に
意味の違いがある事が分かった。
「小柳先生、あの新入生ワンダーフォーゲル
って何ですか?友達が"龍の鱗"がどうのって
言ってたんですけど」
「ああ、新入生ワンダーフォーゲルね、新入
生の一番最初に受ける"試練"の事よ」
「へえ〜そんなのあるんですか…え?…
今なんて言いました?」
「新入生の一番最初に受ける試練って…」
「試練って何ですか!?試練って!」
「ああ試練?あ、そっか知らないんだね」
「"あ、そっか"じゃないですよ!何ですかその
ヤバそうなイベント!?」
「大山って分かる?」
「ええ…県の外れにあるハイキングの山です
よね、中学生の時に行った事があります」
「そこに行って登るだけよ」
「ああなるほど、以外に普通なんですねって
そんな筈ないでしょ、龍の鱗って何です
か?」
「お、段々学習してきたね、いいよ〜」
「いやいや、褒められても」
「大山の地主とウチの学校が契約していて、
魔獣を駆除する代わりにワンダーフォーゲル
で好きに使っていいって話になってるのよ」
「…なんですか"魔獣"って」
「ケンジ君、魔素って覚えてる?」
「はい、万物には魔導力が宿っててそれが
物質化したのが魔素…ですよね」
「そう!それを動物が摂取して体内に蓄積
した結果、変異したのが"魔獣"、魔素が餌
や土から体内に摂取されるから必ず現れる
のよ」
「…えーと、それなら全ての動物はいつか
魔獣になるんですか?」
「普通なら消化されない魔素は体外に排出
されるんだけど、何かの影響で大量に地表
に魔素が出たり、病気や怪我で弱って体内
から排出されず蓄積してしまって魔獣になる
場合が多いわ、後は公害とか」
「つまり一定数魔獣が生まれてくるって
事ですか…」
「そう、だからその魔獣を駆除しながら、
頂上を目指す野外活動ね!」
「龍の鱗って…?」
「大山には主みたいな魔獣がいるのよ、大山
の主"龍"がいて、その鱗を取った者が栄誉が
あるの、具体的には成績や内申点にバッチリ
反映されるから大学受験にも有利よ」
「内申点ってこの世界では大学受験に影響
するんですか?推薦以外でも?」
「勿論よ、それどころか就職にも影響して、
在学中何に頑張ったか、何を成したかは
かなり大きいわよ、特に"試練"関係とか」
「…まじっすか」
(絶対こんな世界から帰ってやる!)
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