新入生オリエンテーション前編

第15話 この世界のルール

2020年6月5日金曜日1550

多目的室


「ぶひゃひゃひゃひゃ!」


小柳先生が笑い転げている。

選択授業の時、一昨日起こした(巻き込まれた)

騒ぎの顛末を聞かれたのだ。


「もー、笑い事じゃないっすよ!」


「ひー、お腹痛い、ごめんね、笑っちゃいけ

ないのに…ブフホッ」


「なんですか"パーティー"って」


「あー、なんて言えばいいのかな?君の世界

にはない風習と言うかシステムかな?」

「なんだろう…うーん、結婚より軽いけど

恋人よりは重い?」


「なんですか?それ」


「学生は勿論、大人になっても繋がり続け

るコミュニティみたいなもの。それを魔導

で形が残るように契約しようとしたって、

片山さんはよっぽど君の事が好きなんだね」


「なんか分かるような分からないような…」


「学生の時は様々なオリエンテーションや

催し物でチームを組んで望む事があるの、

そんなきっかけでチームがパーティーに

なる子達は多いわよ、高校生でパーティー

組んだ子達は進学して大学生になれば課題

や研究で、例え同じ学校や学生の身分じゃ

なくてもパーティーの力を借りる事がある

わ。大学でパーティー組む子達も多いわね

、皆社会人になったら家族や親族じゃない

けど冠婚葬祭には出たり…」


「ああ…家族じゃないけど、血の繋がらない

家族みたいな感じですか?」


「そうそうそんな感じ。大体政治家なんか

皆そうよ、今の総理大臣と閣僚の一部は

同じパーティーだしね、親同士のパーティー

を引き継ぐ人もいる、いわゆる名家同士っ

てやつね」


「なんか息苦しいと言うか、面倒臭い

風習ですね」


「だからよ、パーティーを組まない人も結構

いるわ、まあパーティーの中で結婚する人が

多いから良し悪しあるでしょうけど」


そんな重たいもんだったのか…事実を知り

少しゾッとした。


「じゃあ、魔導の授業始めましょう」


魔法、この世界で言う魔導力・魔導術は物理

と同じ位大切な位置付けにある学問だ。

物理に法則があるように魔法にも法則がある。


魔導力の特性と素養で適性が変わる。

魔導の力はそれ位大きな影響を持っている。


基本的に魔導力を外に放出出来る能力が強け

れば術士や賢者などの適性があり、外に放出

出来ない代わりに体内で消費する能力が強け

れば戦士や剣士などの適性がある。


騎士や侍などは魔導力を体内で消費する能力と放出する能力を合わせ持つ特性があり、

適性ごとにその特性のバランスが異なってい

た。


龍騎士はその魔導力を体内で消費させる事

も放出させる事も両方ともできる。

騎士と龍騎士の違いは魔導力を発生させる

力の違いなと、細かい個人の素養の違いであ

った。


全ての特性に言える事は、その魔導力を発生

させる個人の力の強さは特性や能力に大きな

ウエイトを占めている。


大きな魔導力も無く、放出も、体内で消費も

両方とも出来ない特性が市民であり、少なく

ない数の人達がこれに当てはまる。

それ故に適性持ちが選民思想を持ち、学校

であればイジメや社会人になれば差別が

起きる原因となっていた。

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