第14話 図書室爆発
片山さんが他の人に聞こえる大きな声が
出せる事に衝撃を受けたが、それ以上に凄み
があるドスの効いた声だったのが正直縮み上
がった。
「そのポケットからはみ出た紙は何?まさか
パーティーの契約書じゃないでしょうね?
その紙からアンタの魔導力がぷんぷん匂うわ」
「…だった何よ、ケンジ君と私の事、アンタ
には関係ないわ」
「何?何が起きてるの!?」
(え、ヤバくない?修羅場?何か悪い事した?)
「ケンジがよく聞こえないうちに契約の儀
をやろうなんて卑怯でしょ」
「私が炎術士だって忘れたみたいね…」
「だから何?私は水術士なんだけど」
「ちょっと待って2人とも…」
「「うっさい!!」」
「すいません!」
2人の周りで生暖かい空気と冷たい空気が
流れ始めた。
ま、まさかここで魔法使うの?!こっちの
世界のケンカは魔法で殴り合うの?
てか、なんでケンカになったの??
「ちょっと待って2人とも落ち着いー」
その瞬間、辺りが真っ白になった。
「…で、図書室付近で私闘による水蒸気爆発
を起こして言いたいことはそれだけか?」
放課後、生徒指導室の前に正座させられた
僕の前に(風紀委員)と書かれた腕章をした
神林先輩が仁王立ちしていた。
「神林先輩、風紀委員だったんですね…」
「今そんな事はどうでも良い、水木真琴と
片山恵那から話を聞いた結果…お前が女子
2人をたぶらかして争いに発展した…そう
言う結論になるが」
「いやいやいや!僕は何もやってません!」
「片山に聞いたら一緒にパーティーをやろう
と言ったら貴様は"楽しそうだね"と肯定とも
拒否ともつかない答えをしたそうじゃないか」
「いや、それは!…!」
(待て、"パーティー"の意味が僕のいた世界
とこっちじゃ何か根本的に違う!迂闊に
答えたら…)
「…声が小さくてよく聞こえなかったから
です」
(まあ、嘘は言ってない)
「声が小さいから曖昧な返事をした…ほう
龍騎士の言い訳はそんなものか…」
「いやいやいや!本当です」
「まあ…確かに片山は声が小さくてよく
分からなかった、聞き取りも苦労したぞ
、君が言うのは嘘じゃないだろう」
「は、はい…」
(誤解が解けたか…?)
「ちなみに水木と片山とはどんな関係だ?」
「マコトはバスとか通学する道が同じで、
クラスも一緒の友達です、片山さんは…同じ
クラスなんですけど話した事がなくてよく
分かりません」
「よく分かった、禁止されている私闘を幇助
した事は事実!今日は素振り100本追加
だな」
「ええええ!?僕は何もしてないのに!
しかもその罰、今先輩が考えましたよね?!」
「うるさい!さっさと武道場に向かえ!」
「は、はい!!」
ケンジが立ち去った後、神林はため息を
ついた。
水木真琴は中学では別の学区だったがケンジ
と同じ小学校の同級生
片山恵那は中学で同じクラスになった事は
ないもののケンジと同じ中学校の同級生
2人ともケンジとの関係を問いただすと少し
恥ずかしげにケンジとの思い出を語った。
なのに奴ときたら水木は同じ通学路で同じ
クラスの同級生です、片山は同じクラスだけ
ど話した事ないからよく分かりませんだと?
龍騎士は女にモテるからイチイチ覚えてられ
ないか?
いや…そうじゃない、あいつはそんな奴
じゃない。
神林は訳もなくイライラすると部活に向かっ
た。
「さ、今日もケンジ君と練習だ、ふふ」
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