第13話 パーティーって何?

2020年6月3日水曜日0820

「え?15日の新入生ワンダーフォーゲル?」


「そう、どうする?ケンジは誰と行く?」


朝、山ちゃんから言われた聞き慣れない単語

に内心焦った。

(しまった、日々の忙しさと疲労に流されて

完全にノーマークだ)


「や、山ちゃん一緒に行こうよ、もし良かっ

たら」

(とりあえず誰かと組んだ方がいい話である

事はなんとなく察しがついたぞ)


「俺はいいけど、ケンジは大丈夫か?

てっきり龍の鱗を狙いに行くのかと…」


「え?え?ああ〜うーん…?」


「何々?ワンゲルの話」

返事に悩んでいる時、マコトがやって来た。


「ケンジと一緒に行こうって話になってる

んだけどマコトも行く?水術士がいたら

助かるし」


「ああ、そうね私も友達が選択授業で一緒

の子と組んじゃったし、混ぜて貰おうかな」


「龍騎士、水術士と鍛冶屋がいれば一通り

大丈夫じゃないかな?」


「うーん…贅沢言えば神職系か賢者の適性

の子がいたら助かるんだけどなぁ」


「この三谷高校にそんな適性の素養がある

奴は受験しないって」


「それもそっか」


「???」

2人が何を言ってるかさっぱり分からない

ので、とりあえず愛想笑いだけしておいた。


昼休み、日課になった図書室で魔導に関する

本を読んでると一緒のクラスの女の子に声を

掛けられた。


「あの…宮本…君」


同じクラスでも話した事がない片山恵那

という女子だった。


この片山さん、無口でありまた話しても声

が小さいので、同じクラスでも彼女の周り

の席の人しか声を聞いた事がない。

更にこの沈黙の女子のインパクトを強める

のはその髪型だ。

前髪が前見えてるの?って位長い。

顔の上半分な隠れていて、正直なところ顔

が見えない。

初めて声を聞いた事、髪型のインパクトで

少し驚いた。


「片山さん…なんでしょうか」


「その…最近ずっと勉強…してるね、龍騎士

だから?」


(参ったな言い訳考えてないや…)

「うん…まあ」


「片山さんは何か調べもの?」


「私、図書委員…」


「あ、ああ…なるほど」


「ねえ…私と…もし良かったら…パーティー

を…」


「え?何?」

(よく聞こえなかった、パーティー?)


「私とパーティーを…」

(同じクラスの人だとパーティーをするのが

この世界では常識なのかな…話合わしておく

か)


「た、楽しそうだね」


「…いいの?」


「え?」


「ちょぉぉぉっと待ったああああああ!!」


突然目の前に、マコトが立ちはだかった。

「え?え?」


「アンタ!何パーティーを結ぼうとしてる

の!?」


「え?は?」


「ちょっと…邪魔しないでくれる?」


片山さんが他の人に聞こえる大きな声が出せ

る事に衝撃を受けたが、それ以上に凄みがあるドスの効いた声だったのが正直縮み上がっ

た。

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