魔法の世界の歩き方
第7話 妹と適性
2020年5月25日火曜日0700
通学途中、朝からとにかく疲れていた。
昨日は帰宅すると、両親が龍騎士の適性に
大喜びしてお祝いをしてくれた。
スマートフォンを見る余裕がなかった為、
帰り際気が付いた時には親から凄い数の
着信があった。
家に帰ると、学校から適性を伝えられた
両親から凄い勢いで適性検査の結果をすぐ
伝えなかった事を怒られ、そして両親は
大喜びした。
父親は男泣きするし、母親は過呼吸になる
し大変だった。
無理も無い。適性が大きなウエイトを占める
この世界で、歴史上の偉人と同じレアな適性
だったのだ。龍騎士という厨二病のような
適性は正直ダサいが仕方ない。
一つ気になるのは妹の様子だ、やはり自分
が予想出来る適性に絶望していた時、兄の
適性が実はとんでもなくレアだったなんて
知ったら確かに辛いと思う。
両親の目が妹では俺に向くのは明らかだし
こちらの世界の妹からすればやり切れない
んだろう。
妹は最低限の食事だけして部屋に引き篭もっ
た。
違う世界の妹とはいえ、アカネが思い悩む
ならなんとかしてやりたいと思う。
何者かになりたいのに、何者にもなれない
自分のやりたい事…出来る事が見つからない
のは苦しい事だと思うし、何か夢や目標が
あっても適性がそれを阻むかもしれない。
妹に何か言わなきゃいけないような気がして
アカネの部屋の前に立つも、何もする事が
出来ずに自分の部屋に戻った。
朝、通学途中、何となく気付いていたが、
スマホのタッチの反応が鈍い。
電化製品も何度かスイッチを押してやっと
動いた。
「…やっぱり魔法が無い世界にいたから
かな」
母親が言った「魔力を込める」という言葉
を思い出した。
もしかしたら魔法が使えないから反応が悪い
のだろうか?
「おはよう!」
考え事をしていると、いつものバス停で
マコトに声を掛けられた。
「あ、ああ、おはよう!」
「どうしたの?朝から難しい顔して」
「いや、えーと…何でもないよ!」
「あ、そう…ね、ケンジ、なんで適性検査
の結果、すぐに家族に教えなかったの?
発表の時、クラスの皆でワーワー言っていた
のに、何で笑ってごまかしてたの?」
「え?え?、いや〜」(そんなの!こっちの
世界の俺しか知らねーよ!)
この世界の、いや元の世界でもそうだった
かもしれないけど、マコトは勘が鋭い。
違う世界から来た事はバレないように
しないと…
マコトは昨日からのケンジの様子を見て、
怪しんでいた。
(怪しい…山ちゃんも※Roadで様子がおかしい
って言ってたし。)
※この世界のメッセージや通話無料アプリ
(もしかして偽物?そんな変身できる術式、
使える人も少ないだろうし多分法律に違反
している。)
(そもそもケンジに成り代わる理由って?
龍騎士だから?でも適性なんて調べたら
すぐにバレちゃうからなぁ…)
難しい顔をしてバスに乗る2人は、他人から
見たら喧嘩して険悪な雰囲気のカップル
そのものだった。
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