第4話 貴方の適性は龍騎士です

全く記憶に無い書類には、市のマークに、

"魔導省"と、聞いた事もない胡散臭い省の仰々

しい実印が押してある。


宮本賢治殿

以下の適性があると認められる。


魔法A

技術A

体力B

知力B

精神力AA

各属性

火B+

水B+

土B+

木B+

光B+

神性AA


貴方の適性は「龍騎士」です。


…龍騎士?…いや、どう読んでも龍騎士と

書いてある。


(え?嘘でしょ、何…龍騎士って)


思わぬ文字に吹き出してしまった。

大真面目に、適性検査と書いてある封筒に

中を開けると貴方は龍騎士ですって…

なんの厨二病だよ!


「何々?!ケンジ、適性検査の用紙クシャ

クシャじゃん!コレ大事にしろって…」


「山ちゃん見てよ、こんだけ仰々しい印鑑

押して大真面目に"貴方は龍騎士です"だって

、厨二病かよ!龍騎士って何の適性だよ!」

「適性は龍騎士です!キリッて言うのか

よ!?ハハハ…ハ…?」


山ちゃんの顔が固まっている。クラスを

見回すと皆、皆信じられないような顔を

してこちらを凝視していた。


「…なんかマズイ事言っちゃった…かな?

ご…ごめんなさい」


僕の適性検査の用紙を持つ、山ちゃんの手

が震えている。


「山ちゃん…?」


「すげええええ!龍騎士なんて初めて見た!」

「本当に居たのかよ!龍騎士なんて噂だけか

と思った!!」

「ケンジ君、本当に龍騎士なの!?凄いじゃ

ん!」

「オイオイ!ウチの学校もヤバいんじゃん?」


クラスの中が騒然とした、あまりの騒ぎに

違うクラスの担任までやって来た。

「お前ら何騒いでいるんだ!!」


「ケンジが…ケンジが龍騎士なんだよ!」


「何?何かの間違いじゃ…」


「じゃあコレ見てみろよ!」


山ちゃんが先生に紙を手渡すと、違うクラス

の担任の表情がみるみるうちに驚きに変わっ

た。

「宮本君職員室まで来なさい!」


職員室に連れて来られた僕は、教頭先生に

龍騎士とは何か、龍騎士の自覚や品格など

こんこんと説明された。


正直、訳が分からなくて一切頭に入らな

かった。


適性検査の結果用紙は、今後の人生に必ず

ついて回る大切な書類だから卒業まで学校の

金庫で保管すると初めて知った。

と、言うか受けた事もない適性検査の話をさ

れても困る。


クラスの担任も、皆の見る目も一気に変わり

気持ち悪かった。

他のクラスから見物に来る奴までいた。


ただ山ちゃんとマコトだけは今までと変わ

らず接してくれた。


放課後、慌ただしかった1日が嘘のように

静かだ。

バイトがあるマコトはバイト先に行き、

山ちゃんは家に帰った。適性が分かってか

ら見習いを始めているそうだ。


そもそも適性ってなんだ?

なんで適性1つであんな驚く?

マコトの水術師って?山ちゃんの鍛冶屋って?龍騎士って何?


僕は、誰もいない事を確かめて図書室に

入った。

先生から鍵を借りる時、怪訝な顔をされたが

勉強の為とアドリブをきかせたらすんなりと

貸してくれた。


ここに来たのは自分の中の仮説を立証する

為だ。

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