第3話 同じクラスの人達まで

教室に入るといつものメンバーとは言い難か

った。

制服を着ている生徒に混じりマコトと同じ

ように魔法使いのケープを着ている同級生

もいれば、入学した当初から割と派手めな

女子は、ビキニの上に透けた衣装という

目のやり場に困る服装をしていた。


「ああ、あの子は適性検査"踊り子"だったん

だって、まあピッタリっちゃピッタリだね」


「ああ…うん」


(皆、誰も気にしてないの?!)


入学式が終わってから少しずつ縮まった

クラスメートとの距離が、一気に開いた

ような気がした。


「お、ケンジおはよう」


「山ちゃん、おっす…って山ちゃんはいつも

通りか」

山ちゃんこと山本は同じ中学から一緒に同じ

高校に進学していたことから特に仲が良か

った。

いつもと変わらない、普通に制服を着ている

友人に少し安心した。


「どうした?なんか朝から疲れているみたい

だけど」


「どうもこうもないよ…何?最近RPGとか

のコスプレ流行ってるの?アバター作るやつ

とか…」


「コスプレ?アバター?何言ってるん?

大丈夫か?」


「え?あ、うん」(待て待て、山ちゃんも

おかしいのか?)


「皆、適性検査の結果が出たから、今から

修養しなきゃいけない奴はその服装で来な

きゃいけないから大変だよな」


「そ、そうだよね」(何?ドッキリ?)


「俺なんか適性が鍛冶屋だったから良かった

よ、実家が鉄工所だからガキの頃から修養

してるみたいなもんだしさ、特に準備とか

無いから。ま、鉄工所の子供が鍛冶屋って

当たり前かもしれないけどね」


「親の職業や適性が子供にも当てはまる

のか?」


「何言ってんだよ、当たり前じゃん」


「ところでケンジの適性は何?」


「ああ…市民…かな?」


「そっか、変な事聞いて悪かったな」

ケンジもマコトも、市民って言葉に謝った。

妹の朝の言葉が引っかかる、市民って何なの

だろう。

(期待しても無駄だよってどういう事だ?)


おもむろに机の中に手を入れると、封が切ら

れたクシャクシャなA4サイズの封筒が出て

きた。


下には「魔導省」と文字が入っている。

(なんだコレ…?)


恐る恐る中を見ると、文字が印刷された紙が

書いてあった。

紙を引き出すと、そこには「適性検査結果」

と書いてある。


(こんなのいつ貰った?いや、いつ受けた?)


全く記憶に無い書類には、市のマークに、

魔導省と、胡散臭い聞いた事もない省の仰々

しい実印が押してあった。

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