未来に続く1筋の道

 そうやって、仲間になった4人はさらに活躍を続け、そうこうしているうちに誰からともなく言い出した。


 「ダー様の後に続こう。」


 剣も魔法も優れ、多くの商品を生み出したアレクサンダー・ナッタジ公爵。

 その功績は、しかしやはり様々な新らしい世界の発見だった、と言えよう。

 樹海の神秘にその対抗策。

 未だ完全には解明されていないけど、人の住む世界を囲む強大な魔素に満ちた森や海に繰り出した、その功績は枚挙に暇がない。


 そして・・・


 新大陸発見。


 海、は、魔物の巣窟で、南北の大陸からさほど外れずして、人がゆくには困難な場所になる、というのは周知の事実。

 そんな危険な海の、最も外周に住むのは、魚の獣人族であろう。

 何を隠そう、多くの魚の獣人たちとも親交を結んだ初代様は、彼らの力を借りつつ、「世界一周の旅」なるものに出航したのは有名な話。

 幼い頃からの夢であったそうで、兄上様の王太子就任の儀の付き添い役のご褒美として出航が認められた、と、伝承されている。


 初代様曰く、大地は空に浮かぶ球なのだそうだ。

 だから、延々と東に進めば、元の場所にたどり着く、そう初代様たちは信じ出航したらしい。

 それが本当かどうかは分からない。

 だいたい空に浮かんだ球なのだったら、みんな落ちちゃうじゃない、と思わないでもない。

 けど、それはどうでもいい話。

 東へと進めた初代様達は、どうしても進めない、彼ら曰く瘴気まみれの海域にぶち当たった、らしい。

 そこでもいろいろな活躍をしたようだけど、その最中に一つの大地を見つけたんだとか。

 そこは何やら面白い大地だったようで・・・


 とはいえ、どう面白いかは伝わっていない。

 ただ、その大地も瘴気まみれ。

 それを開拓し、歩を進めた・・・らしい。


 そこに何があるか。



 冒険者だったら、自分の目で確かめてみたら?

 僕は僕でまだまだ確かめるけどね。

 初代様はそう言って、笑った・・・・と伝わっている。



 そう。


 その大地。

 今では新大陸、と呼ばれるその大地。


 初代様を追うんだもの。やっぱり目的地は新大陸だよね。


 そうして、私たちパーティは、危険な海を渡り、この大地に、白い大地にたどり着いたのよ。

 ジータンは、そう思いをかみしめる。

 まっすぐに伸びる一本の道をしっかりと目に納めながら。

 その視界には、はるか先に向かう複数の冒険者たち。


 初代様を慕う者は多いのね。


 ジータンははるか前方を行く、自分と同じように濃紺に光をまとわせた美しい髪の青年を見ながら、微笑んだ。



    (完)

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私の周りの人々****「私の・・・」シリーズ番外編 『僕らはみんな生きている~誰もが自分の主人公』 平行宇宙 @sola-h

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