第3話 北の湖畔
「北の湖畔」
夏が終わっていく
僕が知っているのは
北の湖畔の絶望風景
あと三日
それだけを考えていた
僕の痕跡
人の気配
すべてが消失し
ただ
寂しいだけの
北の湖畔
あと三日
僕に残された時間
記憶の痕跡
幸せの気配
すべてを捨て去って
ただ
憎悪だけの
北の湖畔
いよいよ最後だと思っていたから
ついに終わりだと考えていたから
せめてもの償いにと
年老いた土産物屋に立ち寄って
あれこれと
それから
子供達の顔を
初めて思い出して
それから
少しだけ胸を痛めて
つまらないものを買って
送って貰った
やりきれなかった
何もかも捨て去って
何もかもやめてしまって
戻ることができたら
きっと
きっと一からやり直せる
それは簡単なこと
きっと簡単なこと
それだけで
きっと
幸せな過去に
戻れるような気がした
あと三日
北の湖畔での絶望風景
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます