第3話 北の湖畔

「北の湖畔」


夏が終わっていく

僕が知っているのは

北の湖畔の絶望風景


あと三日

それだけを考えていた

僕の痕跡

人の気配

すべてが消失し

ただ

寂しいだけの

北の湖畔


あと三日

僕に残された時間

記憶の痕跡

幸せの気配

すべてを捨て去って

ただ

憎悪だけの

北の湖畔


いよいよ最後だと思っていたから

ついに終わりだと考えていたから

せめてもの償いにと

年老いた土産物屋に立ち寄って

あれこれと

それから

子供達の顔を

初めて思い出して

それから

少しだけ胸を痛めて

つまらないものを買って

送って貰った

やりきれなかった

何もかも捨て去って

何もかもやめてしまって

戻ることができたら

きっと

きっと一からやり直せる

それは簡単なこと

きっと簡単なこと

それだけで

きっと

幸せな過去に

戻れるような気がした


あと三日

北の湖畔での絶望風景

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