「トラウマ」の語源

遠野麻子

「トラウマ」の語源

昔、中国のとある山に獰猛な虎が住んでいました。


麓に住む村人達が、山に薬草取りに出かけては、何人も喰い殺されておりました。


そうして、山に入る者は誰もいなくなりました。


ある時、馬に乗った若者が村にやってきました。 山を抜けて、都を目指す為でした。


村人達は、山は危険だから他の道を探した方がいいと口々に止めましたが、


若者は笑って「大丈夫だ」と答えるばかりでした。


何故なら、若者の馬は、それはそれは立派な大きいものだったからです。


村人達の心配そうな視線を背に、若者は山へと入っていきました。


山の奥深く、虎が鼻をひくつかせました。


人間の匂いと獣の匂い。


虎は、ソロリソロリと近付いていきました。


若者は、そんなことには全く気付かず、荒れ果てた山道を進んでいました。


虎は目の前のご馳走に舌なめずりをしました。


その時です。


大きな蛇が現われ、馬の足に噛みつきました。 馬は驚いて大暴れ。


若者も振り落とされてしまいました。


飛び掛かろうとしていた虎は、突然の出来事に驚き、崖から落ちて大怪我をしてしまいました。


それからというもの、虎にとって、馬はとても怖い生き物になりました。


そうして「トラウマ」という言葉が生まれました。

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「トラウマ」の語源 遠野麻子 @Tonoasako

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