Xの独白

 ああ、なんて可笑しいんだろう。

 みんなの思いが入り乱れて、こんがらがった毛糸球のよう。

 ずいぶんとおもしろいことをやってくれる。


 いっそこの際、みんなして自滅してしまえばいいかもしれない。

 その様を自分は眺めて楽しむんだ。

 そう、壊れてしまえばいい。なにもかも。


     みんな消えればいいのに


 破壊願望が自分の中にあることには昔から気がついていた。

 それは破滅願望でもあるのかもれない。

 壊れるもの、壊れること、それがとても好き。

 子どものころ、おもちゃを壊して遊んでいたっけ。


     そう、壊れてしまえばいい。みんな。


 でも、壊して遊んでいただけではない。

 それを直してまた壊す。それを繰り返していたっけ。

 とても。

 とても楽しかった。

 繰り返しているうちに部品は摩耗して、最終的にはどうにもならなくなっていた。

 そうやってできた「完成形」を眺めるのが楽しかった。


     壊してしまおう、なにもかも。


 ああ、なんて可笑しいんだろう。

 今の自分なら美しい「完成形」を作ることができるかもしれない。

 どうやって料理してやろうか。


 スパイスを少し。

 ほんの少し。

 そう、きっとそれだけで楽しく壊れていくだろう。

 そして自分は、それを綺麗に元通りに。

 いや、元通りではない。美しく壊れた「元通り」にするのだ。

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