第33話「クリスマスイブによせて」
クリスマスイブのまったりした午後。
みなみと笹島はリビングでスマホを眺めては下らない事を話している。
キッチンでは夕陽がクリスマスディナーの下準備に追われていて、ワンオペ状態で奮闘している。
「ねぇ、みなみん。さっきから何を真剣にスマホ凝視ってんの?」
笹島に問われてみなみはようやくスマホから顔を上げる。
「んー?芸能ニュース。クリスマスに結婚発表するリア充芸能人監視してんの」
「み…みなみん、怖っ。何その荒みきった思考。アイドルてしても人としてもマジないわ」
「なっ…真正の変態に言われるの屈辱なんですけど。そういう笹島さんこそ何見てたのよ」
みなみはスマホをこたつの上に投げ出し、突っ伏した。
「俺?俺は怜サマのSNS監視…じゃなくて閲覧っすよ」
「どっちもどっちだな。おい」
そこに食材の入ったボールを両手に持った夕陽がやって来た。
「あ、夕陽さん居たんだ」
「お前なぁ…ふざけるなよ。ほら、二人ともポテサラのイモを潰せ。いいか全部潰すなよ?ほっくりしたイモの食感を活かしてくれよ」
そう言って夕陽はマッシャーを手渡す。
「おっ、ポテサラいいね〜。食紅使ってカラフルなの作ろうよ」
「却下だ!お前ら紫やピンクの作る気だろ」
「げっ、何でわかるんだよ。夕陽っ」
笹島とみなみは揃って顔を見合わせる。
どうやら図星だったようだ。
夕陽はため息を吐く。
二人の感性は何故だかとてもよく似ている。
その事を二人に言うと否定するが、そのタイミングも似ている。
「しょうがない。普通に手伝うか」
「だねー」
そして二人は黙々とポテトを潰していく。
「そういえば夕陽さん、靴下干しておいた?」
「は?洗濯物ならもう取り込んであるぞ」
夕陽は首を傾げる。
二人分の洗濯物なら昨日畳んで渡してあったはずだ。
「違うよ。夕陽さん。サンタさんにプレゼント入れてもらうんだよ」
「…それ洗濯物の靴下じゃないからな。だから干すんじゃなくて吊るすだよ。まぁ、やらねーけどな」
夕陽は思い出す。
自分も昔はドキドキしながら、夜に靴下を下げたなと。
「はぁ。サンタさん来ないんだ〜」
「みなみん。俺がみなみんの寝室に…ぐはぁっ」
夕陽が即座に笹島を即座に蹴倒す。
「まぁ、お前がいい子にしていたらな」
「えっ?マジ」
「笹島、お前に言ったんじゃねぇよ」
クリスマスイブ、夕陽はこっそりジンジャークッキーを焼く準備を始めたのであった。
クリスマスイブなので、何かやりたかったのでちょっとだけショートショートストーリーをお届けします(^^)
皆様。めりくり〜。
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