第13話「バレンタインに甘さは不要•序章」

毎年2月14日はバレンタインデーが巡ってくる。

言わずと知れた女子が男子へチョコレートを贈り、愛を告げる一大イベントである。


しかし何かと多様性が重要視すれる昨今、このイベントは男女双方関係なく、友人や親子、会社の人間関係の円滑目的等、様々な形で贈り合うようになっている。


一説によると贈る物がチョコレートなのは、菓子メーカーの策略だというが、どちらにしろチョコレートが売れる事には変わりないので、メーカーにとってはウハウハなイベントだろう。


そしてここにバレンタイン初心者のアイドル三人が集っていた。



「ハイハーイ!これからバレンタインチョコを手作りするよ。二人とも準備は万端?」



「……えぇ。まぁ」



「こっちはオッケーよ」



場所はみなみのマンション。

最近は彼氏である夕陽が定期的に掃除をしてくれているので、まぁ何とか人を招き入れる事が可能なレベルの清潔感は保たれている。


明日はバレンタインという事で、集まったメンバーは森さらさと乙女乃怜にホストである永瀬みなみを加えた三名が集った。



「……て、何で森さんまでいるんですか?まさかまだ夕陽さん狙い?」



「あら勘違いしないで。確かに王子にあげようと思ってるけど、これは普段お世話になってますって意味合いの義理チョコだから大丈夫よ。ここから私の意外な一面を知った王子がキュンとして恋に発展するかもなんて、考えるわけないじゃない」


「うわ、長台詞で本音チラつかせるの止めてくださいよ」



みなみはムッとした顔でさらさの方を見る。

一方、怜の方はチョコに大した興味はないようで、自分とは無関係のようにスマホを眺めている。



「別にバレンタインなんて、スマホで高くてゴージャスなヤツ、ポチればそれでいいんじゃない?チョコなんておまけのようなものだし」



「早乙女さん!そんなやっつけ仕事のように言わないでください。バレンタインなんですよ?もっとモチベ上げていきましょう」



「ふぅん…面倒ね。で、どうやって作るの?」



面倒とは言いつつも、取り敢えずエプロンを身に付けた怜を見て、みなみはようやく本題に入れると安堵した。



「では、手順を説明します。チョコレートの作り方は予め昨日私が調べておきました。先ずはこのネットでポチったカカオ豆をローストするところから………」



「ちょっと待って!何なのよそれは」



キッチンサイドにある引き出しから、大きな袋を取り出したみなみを見て、真っ先にさらさが抗議する。



「何って、カカオ豆ですよ。森さん、知らないんですか?チョコレートって、この豆から作るんですよ」



「それは私も知ってるわよ。だけど普通手作りチョコって言ったら、市販のチョコを湯煎で溶かして型に入れて固めるヤツを言うじゃない?」


「まぁ、そうね。あたしはやった事ないけど」


怜もさらさの意見に頷いた。



「何ですそれ。全然手作りと違うじゃないですか。他人の作ったものなのに、溶かして形を変えて、自分の手柄にするつもりですか?それって詐欺じゃないですか」



「いやいや、そんなカタく考えなくても…」



さらさは軽い頭痛を感じた。

こうして突貫工事の手作りチョコ作りが始まった。










季節外れのバレンタイン番外編の始まりです。

まぁ、女子会みたいなノリで彼女たちのやり取りを楽しんで頂けたらなと用意しました。















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