第43話 秩父 金仙寺の枝垂れ桜

43 秩父 金仙寺の枝垂れ桜


平成二十一年四月三日


秩父へは何度も枝垂れ桜を見に来ているが


他に見落としたものがありそうなので調べてみる。


金仙寺という寺に樹齢六百年の枝垂れがあると知り


さっそく出かける。


通った事のない道なので迷いながらやっと探し当てる。


門を入るとすぐ左手に可愛い花の付いた枝垂れ桜が見える。


他に人もいない。


近寄って見るとだいぶ傷んでいる。


六百年の歳月を幹に刻んでいるのが見て取れる。


幹は半分削り取られたように無くなっていて大きな穴も開き


向こう側の景色が見える。


残った幹には苔が生え小さな木まで生えている。


でも根元にひこばえらしき枝が生えていて未来を感じさせてくれるのは救いだ。


長い歳月を他の幹や枝をもぎ取られ風雨にさらされても生き延びて来たのだろう。


そんな姿なのにそれでも美しい花を咲かせて私達を癒してくれている。


有難うと云いたい。


虚勢を張って生きている武者のようだ。


姿かたちはちょっとセクシーにS字型にくねっている。


その姿をスケッチする。


私も頑張って生きなきゃ・・・


小さな花がカーテンのように枝垂れてその姿に彩を添えてくれている。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る