第39話 北小金 東漸寺の枝垂れ桜

39 北小金 東漸寺の枝垂れ桜



  平成二十年四月六日


 北小金で降りて東漸寺に向かう。


駅から道なりに歩いてゆくと直ぐだ。


雲行きがあやしくなって来たので急ぐことにする。


立派な総門を入るとまっすぐに参道が伸びている。


両側には松などの樹が植わっている。


今度は二階建ての門があり仁王像がにらみをきかせている。


まだ、参道は続く。


両側に何本かの桜の古木が見えて来る。


地面は掃き清められているのかきれいだ。


背の高い樹が歴史を感じさせる。


幹も太くて姿かたちもいいので時間があったらこれらの樹も描きたい。


まだ参道は続く。


ずいぶんと長いが雰囲気はいいし、歩いているだけで気持ちがいい。


やっと最後の門を潜ると枝垂れ桜が姿を見せてくれた。


本堂は真正面にある。


樹齢三百三十年、根本は太いが全体的にこじんまりした姿だ。


花は満開を過ぎているがきれいだ。


ポツンと頬に当たるものがある。


慌てて門の屋根の下に行き、紙を広げて一枚描く。


いつものように桜の周りを回って歩き、構図を決める余裕はない。


神様が本降りになるのを止めてくれている間に急いでスケッチする。


大きな紙なので少し時間はかかったが枝が込み入っていないので


比較的簡単に書ける。


参道の大きな桜の古木を描けなかったのは心残りだがまた来よう。


雨が本降りになったのは駅まで戻る途中だった。


神様が味方してくれたようだ。


この時、近くの店で買い求めた折り畳み傘は今でも重宝している。




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