第27話千葉県八街 妙宣寺の枝垂れ桜
27 千葉県八街 妙宣寺の枝垂れ桜
平成十七年四月五日
今年のちょっと遠出の桜のスケッチは千葉県の八街へ行く事にした。
妙宣寺と長光寺という枝垂れ桜の名所があると知ったからである。
自宅から電車とバスを乗り継いで三時間超はかかる。
まずはバス亭からすぐの妙宣寺へ行く。
門を入ると直ぐに本堂の両脇に対になっているかのような枝垂れが私を
待って居てくれた。
庭いっぱいに咲く桜は満開である。
その時唐突に思った。
何故かこの寺、来たような気がする。
まじまじと二本の樹をまずは左の樹から眺める。
次いで右の樹を眺め、少し下がって本堂を含めて全体の姿を眺めてみる。
そうしながら記憶の奥に入った物を探してみる。
やはり来た事がある気がする。
本堂や桜の樹に覚えがあるのではなく、この寺の雰囲気に覚えがあるようだが
記憶がない。
若い頃、千葉県に住んでいたのでもしかしたらドライブで立ち寄ったのかしら?
と思いながら左の樹からスケッチする。
樹齢二百年らしいがすんなりと伸びている枝は長年の苦労を幹に刻んでいない。
花つきも良い。
右の樹もスケッチするが大きな紙にスケッチしているので首がすごく疲れる。
縦五十三cm、横七十五cmのこの大きな紙は中国から輸入して掛け軸や茶器などを
打っていた店が閉店するとき束でもらったものである。
丸めて持って行けるので結構気に入っている。
小さなスケッチブックに巨樹を描いてもその大きさが伝わらない。
大きな紙に伸び伸び描くのが好きである。
二本の樹を紙に写しとって神経が疲れていたが
もう一つの長光寺の枝垂れ桜が気になっていたので荷物をまとめて妙宣寺を後にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます