第10話 秩父清雲寺の枝垂れ桜
秩父 清雲寺の枝垂れさくら
平成十一年四月十三日
秩父に向かった。
清雲寺のしだれ桜が目当てだった。
ここは何度と無く訪ねている。
庭一杯に白と桃色の枝垂桜が所狭しと植えられている。
どちらを見ても桜、桜、桜である。
人工的な作られた美を感じる。
絵を描くのもどの樹に焦点を当てていいものかわからない。
スケッチブックを白と桃色の色で染めれば出来上がりみたいな感がある。
それに最近、清雲寺の桜は有名になり、バスツワーが来るようになった。
こうなると私の熱意は冷めていく。
それでも色の重なりとみれば美しい。
本堂の庭にも大きな枝垂れ桜がある。
この寺の一番古い枝垂桜はこの庭にあるものではないらしい。
その手前に縄で陣取られた中にちょこんと立っている樹であるらしいが
、可哀想に幹が腐ってしまったのか、治療のあとなのか
青いトタンのような屋根がつけられてしまっている。
年取ってもまだ隠居しようとしない老侍のようである。
花は古いものは終わり、新たに植えられた桃色のしだれが今は盛りである。
とりあえず主役を描くが何となく興が乗らない。
花見客も多くなって来て居にくくなって来たので
退散することにする。
また来る事にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます