第4話 青梅 金剛寺の枝垂れ桜
三,青梅 金剛寺の枝垂れ桜
平成9年4月4日
自宅からそんなに遠くはないので、またこられると自分に言い聞かせ、
梅岩寺を後に本来の目的の金剛寺のしだれ桜を見に行くことにする。
青梅街道に出ると案内が出ているので迷うことは無かった。
この寺は青梅の地名の発祥の元である 青梅の樹があることでも有名である。
将門誓いの青梅というのがあって実は熟しても色がつかず青いままでいる為に
青梅という名になったとか。
さほど大きな寺ではない。
山門をくぐるとすぐ左に目的のしだれ桜の樹はあった。
高さ二十メートル、樹齢百五十年
大きな樹である。
でも、梅岩寺の桜ほど感動しない。
何故だろうと自分に問うてみた。
生命力を感じないのである。
元気をもらえない。
花は満開に咲いていてきれいである。
枝もしだれていて美しい。
でも、両手を広げるように立ったその樹のその両手の部分は松葉杖のような添え木で
支えられており、その先はたこの足のようにちょん切られている。
かろうじて立っている。
針金で吊られたり、木材で支えられたりして立たされている。
痛々しい姿だ。
こんな惨めな姿は見られたくないよと多分おじいさんのような樹が
言っているのが聞こえる。
何故かお婆さんでなくお爺さんのような気がするのは
幹から出た枝の感じから受ける印象である。
スケッチするのが難しい。
とりあえず素直にその幹を写し取る。
花と花の空いた感じはどう表現したら言いのだろう。
後景に山でもあれば描きやすいのだが・・・
ちょっと苦労する。
帰りはもう一度梅岩寺に寄り、遠くから夕方の桜の花の色を目に焼き付ける。
夕方の花の色は白く感じる。
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