第15話 エフテイン王国からの手紙
外に出ると、薄明るくて明け方になっていたことに気づいた。ルックナー閣下はおじさん達が吐いた情報を陛下に報告するとのことで、僕が1人で寮までの道を帰っていると妖精さん達が現れた。
『ロイアナ! 久しぶり』
『元気? 朝帰り?』
『彼氏できたの?』
僕は周りに人がいないのを確認してから妖精さん達に返す。
「妖精さん達、久しぶり。僕は元気だよ。残念ながら今まで一緒にいたのは彼氏じゃないんだけど。妖精さん達こそ元気?」
『元気だよ!』
『そんなことより大変なんだ!』
「何? どうしたの?」
『エフテイン王国からロイアナに手紙が届いたんだ!』
「え、どうやって受け取ったの? 僕がいないのバレなかった?」
『いや、最初に塔まで案内した執事が持ってきて玄関の隙間に挟んでいった』
「そう、よかった」
『これ』
そう言って妖精さん達が手紙を渡してくれたのでその場で開いてみる。
我が愛しい娘ロイアナへ
ーそちらの様子はどうだい?
ーそちらの国で変わったことはないか?
ー困ったことがあったら言いなさい。
ーお前は何があっても我々の娘ということには変わりないのだから。
父より
一見本当に心配しているような手紙の内容だがコールライト帝国に対する陰謀を目論んでいるのはエフテイン王国だ。どうやら僕からの情報を得ようとしているらしい。
それにしても、手紙の最後の一文にゾッとした。あの国にいるときはいつも彼らに愛されたくて仕方なかったけど、今は全く愛されたくない。干渉されたくない。今まで僕のことは眼中にも無かったくせに擦り寄ってくる様が気持ち悪くすら思った。
それに、この国の皇帝は好きになれないけど、この国で出会った人とここでの生活が好きになり始めているのかもしれない。
『ロイアナ、疲れてない?』
『大丈夫?』
考え込んでいる僕を見て妖精さん達が心配して覗き込んでくる。
「ちょっと、考え事。大丈夫だよ。ありがとう」
『もしかして、手紙に嫌なこと書いてあったの?」
「いや、心配している風だったよ」
『え! あの王が?』
「そう。だから怪しいんだ」
『僕が様子を見てこようか?』
「え! いいの?」
『もちろん。僕だけならすぐに飛べるよ。とりあえず3日くらい見て回ってくるね』
「ありがとう! 気をつけてね」
そして、妖精さんの1人はエフテイン王国に情報収集に向かってくれた。残った妖精さん達は引き続き塔の見張りとこの国での情報収集をしてくれる事になった。
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