第十一話――臨時ニュースを申し上げます
「番組の途中ではありますが、これより臨時ニュースを申し上げます。国民の皆様は、是非ご清聴ください」
(数秒の沈黙)
(♪♪)
「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
大本営陸海軍部、12月8日午前6時発表。帝国陸海軍は、本8日未明、
(♪♪)
――同日午後7時過ぎ
「只今宣戦の御詔勅が渙発せられました。精鋭なる帝国陸海軍は今や決死の防戦を行いつつあります。東亜全局の平和は、これを念願する帝国のあらゆる努力にもかかわらず、遂にドイツ、ソ連からの宣戦布告と侵攻によって破られたのであります。
此まで政府は、あらゆる手段を尽し対独ソ国交調整の成立に努力して参りましたが、彼は従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって仏と連合して満洲帝国からの英日両国の全面撤兵、日英同盟条約の破棄を要求し帝国の一方的譲歩を強要して参りました。これに対し帝国はあくまで平和的妥結の努力を続けましたが、独ソは何ら反省の色を示さず、武力でもって英領印度侵攻の蛮行を行うに至りました。
事ここに至りましては、帝国は英国との同盟の友誼に基づき、自存自衛を全うするため、断乎として防衛戦争のやむなきに至ったのであります
(後略)
『大詔を拝し奉りて』
光文天皇の名により「対独ソ宣戦の詔勅(独逸人民共和国及ソヴィエト聯邦ニ對スル宣戰ノ詔書)」が渙発されたことを受けて同日午後7時過ぎ、内閣総理大臣・米内光政がラジオ放送を通じて日本国民に向けて実施した戦争決意表明演説である。
――高辞海より引用
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