第二話―楠木備前守勝連(くすのきびぜんのかみまさつら)

「北朝方の連中、完全に頭に血がのぼっていると見えるな。先日の報復とはいえこの暗礁宙域にまで出張ってくるとは」


楠木備前守勝連くすのきびぜんのかみまさつらは、バイザーを跳ね上げて顎鬚をしごきながら、白銀に輝く今様の宇宙裃ノーマルスーツの情報表示面を叩く。


 立体映像で戦況図が中空に投影され、伏せている味方軍船の状況が表示される。


 赤坂宙域は戦争の残骸が漂う危険な場所として見向きもされなかったが、そこに目をつけた勝連によって、要塞地帯として整備されていたのだった。 


「この赤坂宙域は我らの庭よ。ここを戦場に選んだ時点でうぬらの負けが決まったわ」


#100文字の架空戦記

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