銀河南北朝伝説

第一話 芦原(アシハラ)侍所(サムライ・ヘッドクォーターズ) 


「芦原第十三次元監視哨より入電。瑞穂星系方面より多数の次元跳躍泡を確認。警戒態勢甲発動の要ありと認む」


 芦原アシハラ侍所サムライ・ヘッドクォーターズ司令部は、慌ただしさを増していた。普段はほぼ無人だが、今や多くの武家衆サムライ・オフィサーが詰めている。


 慌ただしく飛び込んでくる量子通信に、侍所総大将コマンダーインチーフである高師靖こうのもろやすの顔面が蒼白になっていく。


「敵勢力の量子識別符牒解析終了。符牒識別子は赤、南朝方です!」


「ただちに第四外周検非違使けびいし艦隊は無人艦艇を発進させよ。半舷上陸中の有人艦艇の水兵を呼び戻せ!」


 高の判断は的確ではあったが、遅すぎた。

 秘匿ステルス次元穿孔ジャンプドライブによって出現した宇宙軍船の群れが、北朝の中心的商業星系である芦原を蹂躙しはじめていた。


#100文字の架空戦記

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