8――イケダハヤトの決断

1965年1月15日 ワシントンD.C

 大統領執務室に入ってきた大統領補佐官は、最高機密トップシークレットのスタンプが押された文書を、アイゼンハワー大統領に差し出した。


「イケダハヤト首相は、合衆国の提案を全面的に受け入れ核保有に踏み切るとのことです。マスコミへの発表は来年になるとのことですが」


「なるほど、朗報だ。共産主義のチャイナに頭を下げずに済む。よく核兵器アレルギーを克服出来たな。イケダ首相が入院した時は驚いたが、たいした回復力だよ」


 アイゼンハワーは、屈託のない笑みを浮かべる。


共産主義者コミーどもが、エトロフ島に核ミサイルを置いてくれたのは助かったな。あれで、一気に日本の国民世論がひっくり返った。フルシチョフはやり過ぎたんだ」


「たしかに。日本の世論が一気に核武装やむ無しへ動きましたな。彼らも頭の上にダモクレスの剣が落ちてくるよりはマシと考えたのでは」


「現実は何よりの薬か。なにしろ短期間で近代化を成し遂げ、ロシアに敗北の屈辱を味合わせた国だ。変わり身の早さはお家芸、ということかもしれんな」



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