7――一〇(ヒトマル)式戦車の行進
来賓として軍事パレードに招待されていた大竹将道大佐は、上海協商連邦の主力装備、一〇式戦車の行進を見て呻いた。かの戦車が制式装備になったのは
帝国陸軍ではずいぶん前に姿を消した戦車で、今や国内では戦争博物館にしか存在していない。
一応は独自改装として爆発反応装甲が追加され、火器管制装置も新型に切り替えられているらしい。少なくとも手元の資料ではそうなっている。
「…上海はずいぶんと物持ちがいいな」
同じように招待されている英国陸軍の中佐が英語で話しかけてくる。
表情は半笑いといった塩梅になっていた。
「北京共和国も主力はレオパード1の初期型ですからね。似たようなものでしょう」
「ああ、ドイツ人民共和国の。
「まあ、北京の上層部はそう考えているでしょうね。兵士の目線で考えている政治指導者はそう多くはいませんよ」
「北京の連中、やる気なのか」
「ウチの情報部はそう判断していますが、ね。本当のところは分かりませんな。まあ、北京は後ろに東トルキスタンも控えていますから、そうそう簡単には動けないとは思いますがね」
大竹の言葉に、英国陸軍中佐は微妙な顔になる。
「まあ、常識で言えばそうなんだが。その常識を飛び越えるやつが、たまにいるんだ。歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は…というやつさ」
#100文字の架空戦記
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