第1話 駅論争とWE’RE ALL ALONE論争

「WE’RE ALL ALONE WE’RE ALL ALONE」


摩天楼の先端から路上に向い熱風が走る。アスファルトの照り返しが君の頬を染める。


涼むために入った喫茶店で、彼女は話しかける。


「ねぇ WE’RE ALL ALONEって曲知ってる」

「勿論さ」


「どういう歌詞かも?」

「んーーー」


「私はロマンチックな感じで、いつも二人きりっていう世界観だと思うの」

「ああ」


「ねぇねぇ 別の解釈もあるそうよ。怖いわよ。私たち所詮一人ぼっちなんだって」


ぼくはしばらくの間、無言になった。窓の外は通行人や営業車で混雑している。都会の雑踏だ。



「所詮、みんなひとりで生まれ、ひとりで死んでいくんだよな」


遠くに駅が見える。


「見覚えのある人を駅で見かけたんだ」「まじ、偶然ほんと、奇跡」

「私だけ愛してたことも 今になってわかる」


「えっ どういうこと?」


喫茶店の別テーブルでは、見知らぬ男が向いの友人らしきひとりに疑問を投げかける。


俺の持論は「男がまだ未練タラたらで女をまだ愛してたということだ」


俺は「女が愛を引きずり過ぎ、結局私だけが男を愛していて、男は何とも思っていないということ」かも


いやいや、俺は血がう。3人目の男が血眼の目で講釈する。


「自分は自分だけ愛してたということ。自己愛さ」



3人は取っ組み合いの喧嘩になる。客は皆出て行き、店員もワタワタしている。


考えはみな、それぞれ。ひとりよがりの解釈。


論争すればするほど、その世界は広がっていく。そこがひとりで楽しめるところ。そんな場所に連れていってくれる大切な曲♪


ひとり、駅を今、眺めている…自然と共に口ずさむ


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