第11話
「夏目くん~~」
後ろで手を組みながら分かりやすくにやけてこっちに寄ってくる神崎千歌。
大方予想はついている。彼女の席の横は槻ちゃんだから、休み時間中にでも聞いたのだろう。彼女は槻ちゃんとも仲がいい。
俺がストーカーだった頃は良く話していたことがある。
「面白いことになってんにゃ?遂に拒絶されてあきらめちゃったのかにゃ?」
神崎が、猫のような口調で煽ってくる。上目遣いですり寄ってくる。ひじょーにウザイ。恋愛ごとや修羅場に、自分から顔を出しに行きたがるやつって絶対にいるからなー。
神崎のそんな言動をみて、すかさず千紗も発言する。
「きょーすけは諦めたんじゃない。振られたの」
「千紗……、多分それは俺の援護にはなってないよ?俺の事をオーバーキルしに来ているのか?」
「ん?そもそもきょーすけ援護しようとしてない、いつから味方だと錯覚していた」
真剣な顔で良くもまぁ、人の心をえぐれますね……。ただ間違えを修正しただけということですか。
「夏目くん、振られたんだ……。じゃあ私、彼女立候補しちゃおうかなー」
「きょーすけ、童貞。貴方みたいな上級者相手に出来ない」
「お、俺はど、童貞じゃないぞ?え、あ、うん」
神崎の冗談に食いついたように、千紗が否定の言葉をいれ、その言葉に俺が否定を入れる。
そんな息のあったものに神崎は笑いを堪えきれずに腹を抱えて笑う。
「夏目くん、めっちゃキョドってるじゃん。冗談だってばー。まぁ、多分」
そう言って笑う。俺は俺の事を童貞と馬鹿にした千紗を睨む。千紗は目を逸らしている。
そして俺が堂々と童貞じゃないと宣言したためにひと騒ぎあるのだった。
◆◆
高校生で童貞って恥ずかしくないからね?
童貞はステータス。
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