第2話
さっきスマホで顔を確認したが、若干目は赤い。恥ずかしい……。
俺は教室に入る。当然、そこにはさっき俺を振った槻ちゃんがいる。俺と目が合うが直ぐにそらされてしまう。
その気まずそうな雰囲気を周りを察しているのか、俺の方をチラチラと伺ってくる。こんな状況が心にくる。
(別れたんだったな……)
そんなことを思いながら席に着く。そしてひとつ大きなため息をつく。
そんな気だるけな雰囲気を出していると隣の女子が話しかけてきた。
彼女の名前は東千紗。だらだらと物事を話す女の子でゆったりとマイペースだが、どこかこいつと話していると落ち着く。
それと……俺の事をよくディスってくる。
ねずみ色のショートボブに制服をダボッときていつも萌え袖になっている。いわゆる無気力系。
「またふられたのー?」
「……」
俺はいつもなら違うわ!と強く否定したのだが、今回は本当なのでなんとも言えない。
するといつもは反応しない千紗が少しだけ焦った風になって、言葉をつけ加えるのだった。
「えっ、ほんとーにふられたの?」
隠すつもりもないので俺は正直に答えることにした。隠したところでバレるのは時間の問題だしな。
「あぁ。バッサリとなー。」
彼氏じゃなくなった今、前みたいなストーカー紛いのことをしたら逮捕されかもしれない……。
「そ……」
少し複雑な表情で、相槌を打ってから彼女は頬を小さいゆびで恥ずかしそうにかきながら、耳を疑うことを言った。
「あの女の変わり、私でよくない?」
トーンに抑揚を付けずにそんなことを言った。千紗は俺から目を逸らして黙ってしまう。
いつもの無表情を取り繕うとしているということが分かるくらい顔が赤くなっている。
これは本気なのか……。こんな俺が槻ちゃん以外に言い寄られている……!?どうせ嘘だろうけどさ。
もし本当だったらこんな光栄なことは無い。でもさ……。
「振られた後にほかの女の子の彼氏になるっていうのはな、ちょっと……」
「そっかっ……」
彼女は少ししょぼんとした。俺はこういうのに弱い。俺はクールな彼女がいたため表情の変化には気づく。
「別に千紗が嫌いとかって言うわけじゃなく、怖いんだ。振られることが……」
俺がそう言うと、彼女はこっちに向き直って次はこんなことをいってきた。
「私をきょーすけなしじゃ生きていけないってくらい好きにさせてー。じゃあ君から離れないから」
「そんなこと俺にはできない。出来るわけないんだ」
そういうと彼女はうっすらと笑みを浮かべて見せた。
「やる前から諦めるんだー、へぇー」
手をバタパタとさせながら無表情かつ抑揚のない声で言った。俺はこの子に喧嘩をうられているのだと本能的に察した。
「いいよ。やってやるよ」
言ってしまった。のせられてしまった。
彼女は楽しそうに手を動かすと、机に突っ伏してすぐに寝てしまった。
すやすやと気持ちよさそうに眠るこいつをドキドキさせるなんて無理に決まっている……。
◆◆
面白かったら星とハートよろしくお願いします。
千紗ちゃんの世間からの評価は!
「いつもやる気が感じられない。」
「ゆるキャラみたいで可愛い。ふにふにしてそう」
で、本人曰く胸の方は発展途上国と言っています。
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