片思いしてた冷たい幼なじみを諦めるとモテ始めた。

伊良(いら)

第1話

恋というのは恐ろしいものである。後先のことが全く考えられず、周りなんて気にすることが出来ない。

でも恋という魔法が解けたら?12時を過ぎたシンデレラのように、別人となるだろう。しかしシンデレラはガラスの靴なんてなくても美しかった。


そう恋のために努力したものは、絶対に無くなりはしないのだ。


◆◆

これは主人公と幼なじみの幼い時の一場面である。


「京介。あなたはワタちぃと結婚するのよ?わかった?」


「わかったよ。つきちゃん。ぼくいっしょーついていくね。」


公園の下で誓ったこの約束を男の子は忘れていない。



◆◆


これは背の高いモデルでもしてそうなかっこいい男の子が、飼い主について行くかのように女の子について行っている図である。


彼の名は夏目京介。今年高校一年生になる。世間からの評判はこうだ!


「ちょーかっこいいけど、あの人一途だもんねぇ?」

「あんなことしてなかったら普通にモテてたと思うしさ」


ついてこられている女の子もとっても可愛い。金髪のロングで、胸には大きいふたつの果実が実っている。目はキツいクールな目をしていている。


彼女の名前は藤木槻。同じく高校一年生。世間からは?


「可愛いと思うけど、あの性格じゃあね?」

「怖いし、いつもイケメンにナンパされてる気がするし」


こんなかんじである。


◆◆


「今日はデートしよっか」


「嫌だって言ってるでしょ?聞こえないの?ばかなの?」


やれやれという疲れきった表情で京介を見ている槻。まさに子犬系男子と言うやつである。


「そこをなんとか!俺たち付きあってるだろ?」


逃げる槻の手を京介は取り、止まるように促す。だが、彼女は止まる所か、手を振り払った。


「ちょ、ちょっと?あなたと付き合ってるなんて恥ずかしいからそんな大声でいわないでよ。ていうか、そもそもあんたのことなんてなんとも思ってないから。これ以上私に近づかないでくれない?」


ミサイルのように悪口を重ねていく槻。そして凄んだ表情で、最終通告をするのだった。


「あなたのせいで私の青春は最悪。いつ言おうか、迷ってたけど言わせてもらうわ。あなたにもう飽きたの。だから私に話しかけないで。」


「え」


「だから今日でこの関係はおしまい。幼なじみなんて言うのも飾りだけ。別れましょ。」


それだけを言うと、彼女は足早に立ち去ってしまった……。この一部始終を見ていた人達は静まり返っていた。


「あははは。振られちゃった。今日約束した日から10年たったのにな。忘れても仕方ないか。もう俺のこと好きじゃないんだから」


目から水が出てきた。おかしいな。小さい頃に泣かないって決めたはずなんだけどな。涙を拭うと京介は決めたのだった。


もう金輪際、彼女の迷惑にはならないぞと。



◆◆

ご読了ありがとうございます。

誤字などがあれば教えていただけると幸いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る