第6話

「グガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!」


流石に怪物の皮膚は硬いうえにすごい量の毛に体は覆われているため、致命傷とまではいかなかったが、十分に力量の差があることは分かったのだろう。


その証拠に怪物は俺たちに背を向け、この場から逃走しようとしている。


(逃げるのか?ここまで俺を食おうとしてたのに・・・・・自分が死ぬかもしれないとわかったら逃げるのか・・・・そんなこと許されるのか・・・・。いや、許されるわけがないっ!俺が許さねぇぇ!!!!・・・・・・)


俺の右目は怪物だけを視界に入れ、怪物がどこに行ってもいいよう睨み続ける。俺の視界にもう一人、映り込んで来る奴がいる。


「おい」


俺はリアを横目にある条件を出した。


「お前は、俺から信用を得たいのか」


「・・・っ!?は、はいっ!!」


リアはそんな提案をされると思っていなかったようで最初は驚いていたがすぐに俺の質問に答えた。


「そうか。ならお前の持っている刀を全部俺に渡せ。それで、お前を信用してやる。」


リアが持っている刀を全部渡す。これは、リアにとって俺を信用できないとできないこと。渡した刀で斬られるかもしれない。もしくはそのまま、俺が自害するかもしれない。いろんな可能性がある。


「分かりました。」


だが、リアはすぐに刀身を鞘から抜き、渡してきた。いろんな可能性は俺とリアとの力の差で埋めることができる自信があるためなのかもしれない。しかし、俺はそんなことは全く考えてはいない。今、考えているのはあの怪物を殺すことだけ・・・。


「よし、お前を信用してやる。」


「あ、ありがとうございます!」


俺の言葉にお礼を述べると述べると同時に俺の止血を開始し始めた。傷口に手をかざすと黄色く発光し、発光と同時にみるみると傷口が塞がっていき、痛みも引いていく。しかし、失ってしまった左腕や左目は復活することはなかったが、血が流れなくなり、命をつなげることができた。


「・・・・・・・あの、差し支えなければその刀をどうするか聞いてもよろしいでしょうか?」


ものの数秒で治療を終わらせたリアは自分の愛刀がどうなりか心配だったのか用途を聞いてきた。


「これはな、こうするんだよっ!!!!!!!」


刀のつかを右手で握りしめ、二本に刀の刀身を怪物に向けて今の自分の全力の力でぶん投げた。


投げた刀は一直線に怪物へ向かっていく。怪物は俺の殺気に気づいたのか刀が飛んで来ていることに気づいた。気づいた怪物は刀の方へ振り返り的確に刀に噛み付き、牙で抑え込んだ。勢いがなくなりことを確認すると口から刀を吐き出し、二本の刀は岩壁に突き刺さってしまった。そしてまた走り出そうと俺たちに背を向ける。


しかし、怪物は走り出そうと一歩足を出すのと同時にその場で口から緑色の血液を吐きながら倒れていった。


「・・・・・・ッ!!!」


この現状を一緒に見ていたリアもさすがに驚いたようだった。しかし驚いたのは怪物が倒されたことではない。その証拠にリアはすぐに怪物から視線を外し、俺を見ていた。


「ゆ、勇者さまっ、今のはっ!?!?」


リアが驚くのも無理はない。なんせ一度怪物に吐き捨てられ、岩壁に突き刺さった二本の刀は自分の意志で動いているかのようにまた動き出し、怪物の方へ向かっていった。

リアが傷を負わせた喉元をえぐるように二本の刀は怪物の急所である喉笛を掻き切った。


「安心しろよ、怪物。楽に死なせてやったから・・・。もう聞こえないてないだろうがな。」


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