コウモリ相手にドタバタと

「さて、入るわけだけど。マモル、どうするかい?」

 マルシーンのその問いにしばし逡巡。

 コウモリ程度なら、炎魔法でも当てるか。

 火力調整がうまくいくかが問題だが。

「炎魔法で、焼却?」

「んー、それもアリだけど。君の場合、入り口壊しちゃうかもだよね」

 そういってマルシーンが笑った。

「攻撃魔法のことはよく分からないんですけど……。窒息させちゃうってのはどうですか?」

 シャイラ、結構エグいこと考えるな……。

「あー、それがいいかも。 マモル、できるかい?」

 入ったら襲いかかるというコウモリ。その周りの空気を圧縮する。

 イメージしよう、イメージ。

 なんとなくイメトレしてみた。

「ん……。やってみる」

 そんなわけで入ることにした。

 

-キキキキッ!!


 ヒステリックな悲鳴を上げてコウモリが……5体。毒があるらしいので、身を引く。杖を構え……奴らの姿を見た。僕たちの周りを飛び回る奴らのうちの1体、それが纏う空気を圧縮。


-キッ


 鋭い声を上げて地面に落ちた。

「きゃああああ!」

 振り向くとコウモリの1体がシャイラを襲っていた。それをマルシーンが魔法で切り裂く。残りはなんとか片付けることができた。

「やったね! いい感じだよ、マモル」

 マルシーンがいつものようにハイタッチを求めてきた。

 ゲームでこの世界を旅していた頃は、コウモリ相手に手こずるなんてことはなかった。

 今は、なんとなく充足感がある。いや。この隠しダンジョンとやらが本命だ。

「行こう」

 暗闇の中にもう一歩足を進めた。

 

 

 

 

 

 

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転生してきた僕は強すぎて追放されたので、地元魔術師に鍛えなおされてみる 遠野麻子 @Tonoasako

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