付添いは誰ですか?
「それって、過去や未来にタイムリープするってことか?」
素朴にすぎる質問を僕は投げた。
「いえ。 先程申しましたとおり、あくまで象徴です。『それ』に出会った時に分かりますよ」
スリヤは落ち着いた声で答えた。
「で、君たちはどうするのさ」
マルシーンの声にはっとする。そうだ、旅をしなければ「花びら」に出会えないという。
シャイラと柿川は無論のこと、旅をすることに決めたようだ。
僕はひとまずそれに付き合うことにしよう。
「ふむ……。 そっか、がんばってね」
マルシーンが笑顔で言った。それはどこか他人事のように。
いや、待ってくれ。僕たちはこの世界での「旅の技法」など知らない。
野営などもしたことがないし、この3人ではあっという間に別の意味で旅が終わってしまう。
「いやいや、待ってくれ」
柿川が慌てたように言った。
「俺達はこの世界のことをまるで知らない。旅などもしたことがないんだ」
「そう言われてもなぁ……僕が頼まれたのはマモルを鍛えることだったしさ」
「あたしたち、死んじゃうかもなんです。お願いします~~~」
必死に頼むふたり。
ふと気づくとスリヤは姿を消していた。
「分かった、分かった。とりあえず月の塔に戻ろう。で、だれか手頃な付き人を紹介するさ」
マルシーンのその言葉で、場は一旦落ち着き、街へ戻ることになった。僕の魔法が100%制御さえできれば、3人でやっていけるはずだったのに。
少しの悔しさが胸に刺さる。
その後はなにごともなく、無事に月の塔にたどり着いた。依頼の完了報告、そして事の次第をミコトさんに説明した。
すると、ミコトさんは優雅な、そして圧を秘めた微笑みをたたえ言った。
「では、マルシーンさん。 お三方の旅の付添いをお願いしますね」
「ええぇええ!? なんで僕なのさ。もっと手頃なやついないの?」
「マモルさんは、まだ『未完』ですし、マルシーンさんのお仕事は終わっていませんよ?」
そう言われた彼は、がっくりとしてため息をついた。
うん。
なんか、ほんとごめん。
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