少女と。
立っていたのは、森には似つかわしくない少女。
腰まである長い髪は白く、どこか輝いているようにも見える。
真っ白なワンピースを着た彼女は「この世ならざる者」を思わせた。
「えーっと……君は?」
とマルシーン。
「私はこの世界の
「
シャイラが恐る恐るといったふうに聞いた。
「それでは、始めから説明いたしましょう」
スリヤはそう言い、話し始めた。
「この世界、そしてあなた方が来られた元の世界。 それはあらゆる『可能性』のひとつにすぎません」
ぬ。なんだか複雑そうだ……。
「仮に『可能性』を
彼女の説明を要略すると、次のようになる。
この世界、そして僕たちの世界や他の世界。それは時に干渉しあい、時には遠ざかる。
そして「パドマル」。
この世界は、今のタイムラインのまま進むと消滅の恐れがあるという。
「パドマル」は魔法が存在するという選択肢を選んだ世界。
故に空間のエントロピーは、他世界よりも早く消費され、やがて冷却へと至るそうだ。
その冷却、そして消滅がいつになるかは分からない。
しかし、今なら間に合うということで、門の番人たちは僕たちの世界への干渉を強くしたのだという。
僕たちが住んでいた元の世界。
そこはあらゆる人々が「熱狂的」に生きており、無限にあふれ続けるエネルギーがあるそうだ。
番人たちはそこへ目をつけ、門を僕たちの世界と結びつけた。
しかし、彼らは僕たちがこの世界に迷い込んでくるとまでは想像していなかった。
「パドマル」という世界観を僕たちの世界に送り、それはゲームとして再現された。
プレイヤーが多く集まった「パドマル」は、元の世界とこの世界の狭間にあるそうだ。
それもまた「可能性」のひとつだったらしい。
狭間からこぼれ落ちたのが僕たち。
「あなた達は『戻りたい』ですか?」
スリヤが最後にそう言った。
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